異界の向こうへ



「何読んでるの?涼太」

「零羅」

「霧のむこうのふしぎな町」

「勝手に読むなよ」

「…いいなあ」
「?」
「そんなところに、涼太とふたりきりで迷いこんでみたい」

「戻って来られなくなるぞ」
「涼太と一緒だったら怖くない」

「嘘つき。零児兄がいなきゃ何にもできないくせに」
「涼太だってヤミ姉様がいなきゃなんにもできないじゃん」

「まだ子どもだから、」

「私だってまだ子ども。だから、いつか一緒に2人だけの世界に行こう」
「おとなになったらね」
「それって、オッケーっていう意味?」

「…さあ、どうだろうね」
「涼太のイジワル」

涼太は気づいていない。この世界には、私達2人しか居ないということ。
私は誰にも邪魔されたくないよ。
この空間を。涼太と二人きりの時間を。

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