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あったかいひに包まれて(1/2)


――今日は珍しく、エースさんと一緒です。

「腹減った……」
「サッチさん遅いですねー」

いつもは大体マルコさんとサッチさんとエースさんといるけど、今日は二人はいない。なんか今いる島で海のイケてるおっさんコンテスト≠ネるものが開催されるらしくて、船員の殆どがそっちに行ってしまった。おかげで居残り組は私とエースさん。それからまぁ、船長さんくらいだろう。ぜ、全員じゃないか……。

「だいたいよォ、イケてるおっさんとか、嬉しいのか?おれ、全然わかんねェ」
「イケてないおっさんよりイケてるおっさんの方がいいんじゃないですか?伯がつく的な」
「海賊に意味ねェじゃん……」

ぶつぶつと文句垂れんのは、きっと一人だけおいてかれたなんだろうなぁ。エースさんこう見えて、いや、見たまんまだけど。この船の人好きみたいだし。エースさん以外にも、みんなみんな。
末っ子らしい彼は、さながら遊びに出掛けた兄ちゃんを家で待つ感じか。そう考えると、なんとも可愛らしいな。

「……何笑ってんだよ」
「え?笑ってました?」
「ん。すんげェ良い顔で」

ぶすっとした顔するエースさんに、思わず笑いが声に出される。そんな私にエースさんは更に不愉快にしてしまって、慌てて笑いを堪えた。

「お腹空いたなら、何か作りましょうか?」
「流しただろ」
「いらないんですか?」
「………食う」

やっぱりご飯第一のエースさんに、食堂へと歩きながらひっそり笑った。やっぱなんか流されてる、とか言いながら着いてくるエースさんは、とりあえず無視しておいた。

そっからまた時間が経って、せっかくだからと日本食……というか、まぁ。親子丼を作ってみました。ちなみに材料は、イゾウ、って書かれた棚からちょろっと拝借しました。流石ですイゾウさん。素晴らしいですワノ国。

「………これ、あづさが作ったのか?」
「はい。私の世界の料理ですけど」
「へー!」

ぽかんとして親子丼を眺めるエースさんに、いや私以外の誰が作ったんだよ、なんて思ったのは秘密です。ええ。だってせっかく機嫌直ったんだもの。
嬉々として先割れスプーンを持って食べるエースさんに、私も自分用にちょこっと用意した親子丼を箸で食べる。………うむ。中々悪くないぞ。腕前は落ちてない。

「ん!うま!」
「それは良かった」
「これ、なんつー食いモン?」

あれおかしいな。割と大きい丼を用意したはずなのに既に殆どない。……エースさんだから仕方ないよね。胃袋モンスターだよねこの人。
そう思ってる間にもエースさんは最後の一口を口に入れてて、頭で理解してても思わずひきつった笑いが漏れてしまう。なんなんですかあなたは。
エースさんはごちそうさま、と丁寧に言った後に、で?と続きを促してきた。私はひきつったそれを隠すために、エースさんより何倍も小さな一口で親子丼を口に入れた。まだ食べ終わりません。

「親子丼です」
「オヤコドン?」
「鶏肉と卵があるので。親子丼」
「あー。なるほどな」

納得したようにエースさんが頷いたあと、マルコ……、って小さく呟いたのは聞こえなかった事にする。

「弟が、好きだったんです」
「え。あづさ弟いんの?」
「ええまぁ。6つ下なんですけどね」

さっきのエースさんが、弟みたいだったから。思い出して親子丼にした。
………今ごろ、どうしてるんだろうね。

「おれも弟いんだぜ」
「えっ」
「今17だから…3つ違い?になんのかな」
「………この船じゃ末っ子なのに?」
「末っ子だけど、兄貴なんだよ」

ニカリと笑うエースさんは、すごく嬉しそうだった。家族にすごく恵まれてるんだなぁと思って、だからこんな真っ直ぐに育ったのかな、なんて。

「お前もだろ?」
「へ?」
「実際はねぇちゃんだけど、ここじゃ、一番下じゃん」

家族ではないけど、船に乗ってるなら似たようなもんだし。

そのまま手を伸ばしてきて、私の頭をがしがしと撫でるエースさんに、あぁそういえばみんな年上だった、なんて今更な事をぼんやりと思った。
確かにこんな家族なら……悪く、ないかもしれませんね。





あたたかいひに包まれて


あたたかい日。あたたかい陽。あたたかい、火。


どれもみんな、ぽかぽかした、安心できるもの。










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