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Rainy Blue


リヴァイ特別教官は、私が嫌いだ!!
もはや言うまでもないことである。


今日も今日とて午前の訓練が終わって疲れているところに雑用を任された。これはもう苛めに等しいんじゃないかと思うところだが、訴えたところで訓練兵の扱いなんてたかが知れてる。そしてあの人のことだ、周りや私が納得せざるを得ない理由も考えているのだろう。全く忌々しい限りである。
先日教官たちの部屋がある建物、私たちは教官棟とか名付けてるけれど、その教官棟で響き渡りはせずとも隠すつもりなく馬鹿呼ばわりしたのはよろしくなかった。次の日の特別教官こわかった。あれもうやだ。こわかった。
以降特別教官に何か悪態ついたりすることはしなくなったけど、もやもやはする。けど最近はもうあの人私のこと嫌いなんだなと思うようになったら、妙にすっきりした。そりゃ仕方ないわな。理不尽の極みだけど、特別教官にも感情があったぞ〜と思うことにした。わかんないものは考えても仕方ない。


「ってね、思ったらいっかなって」
「いやいやイグノ、それよくねーだろ」
「うん。教官がイグノに対して公正じゃないのは、みんな思ってることだし。それは諦めることじゃないよ」
「いや、でもさ。特別教官が私に対してああなのは最初からじゃん? きっかけもわかってるし、そん時から嫌いなんだと思う」
「それはそうだけど…」

午後の訓練が雨でお休みに。午後だけとはいえ久しぶりにもらった休みに嬉しく思いながら、することと言えば食堂でファイとフィグメントと雑談。私たちだけでなく、割と他のやつらもおんなじ感じだった。おかげでご飯時でもないのに食堂は人で密集してる。
私の、というより私と教官の話になるのにそう時間はかからなかったが、ファイまで真剣に私のことを考えてくれるのは珍しい。ファイは悪い人ではなく、仲間思いではあるけれど、普段はどうしてもからかって笑うやつなのだ。そして私が反論してフィグメントが止める。出会いからしてそんなだった関係は、今も続き、いつの間にかこの二人といることが多くなってしまった。
いつか、特別教官がこの二人にまで何か言い出したらいやだなとぼんやり思ったけど、なんとなくそれは無い気がして、心配はあっさり消えた。

「でも今日、午後中止になって良かったね」
「なー。お前も教官に苛められなくて済んだしな?」
「いや…むしろ今日は訓練したかったわ…」
「え?」

ドエムかお前、というファイの言葉に違うと返してから、理由を口にする。
確かにリヴァイ特別教官は私に不平等だが、訓練に対しては平等だ。良い意味でも、悪い意味でも。

「リヴァイ教官、もとから今日は午後いなかったんだ」

だからこそいない日に訓練したかったわ…と苦い顔をすれば、それは確かに、と二人も苦い顔をした。訓練において平等な特別教官は、誰に対しても容赦無い。心が折れる。だからどうせ訓練やるならリヴァイ教官がいない時がいいっていうのは、同期みんなの願いだ。
勿論今日の分の休みは他の日、リヴァイ教官がいる時にしてくれというのも前提で。

「マジかよー!? じゃあラッキーとか言えないじゃん! ラッキー半減よ!? 半ラッキーよ!?」
「ファイうっさい」
「あ〜、なんか損した気分…どうしてくれんだよイグノ!」
「うっさいってば! じゃあ損しないように有意義に過ごせばいいだろ!?」
「そうする。寝る」

おやすみー!とテンション高く去っていったファイに、なんだあいつと呟けば残ったフィグメントが笑った。寝るテンションじゃないよねと。

「でもイグノ、よくリヴァイ教官がいないって知ってたね」
「ん? だってあの人、俺はあと一時間でここを出なきゃならねーからそれまでになんとかしろーって私に雑用させたんだもん」
「雨降る前に?」
「うん。教官出てった直後に雨降ったからね。今頃きっとずぶ濡れだね!」
「へ〜。壁外調査がもう近いのかな。雨の中出てくなんて大変だなぁ」
「ざまぁみろ神経質って感じだけどね」
「いないからって言ってるとまた怒られるよ。…でも良かったね。雨降ってなかったら、イグノ今頃ご飯抜きだ」
「…え……あっ!」

フィグメントに言われて、サァっと血の気が引いた。ほんとだ…午前終わりに雑用させて一時間以内って、あの人昼休み丸々私をパシるつもりだったのか…!
これは雨が降って良かった、と切実に頷きながら、リヴァイ教官は私が嫌い説に益々拍車をかけることになった。

…まぁ、説というか、きっと嫌いなのだ。
嫌われてしまった。もしくは、気にさわったのだろうな。
それはもう、運が悪かった。仕方ないとしか言えない出来事だ。
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