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アンダンテ コンモート
※アフェットゥオーゾ・フォルティッシモの続編にあたりますが、読まなくとも問題ありません。
友達の友達っていうのって、なんとも微妙な関係だと思う。相手の顔もエピソードも知ってるのに実際は全く話したことなんかなかったり。お互いが友達の友達と認識してる時もまた一瞬戸惑う。いや戸惑うも何も、やっぱり話したことなんかないのだから、偶然話す機会が出来ちゃった時に話せばいいんじゃないかとは思ってるけど。思ってるけどけど。
(……なぁんか、私の友達の友達は、みんな気にしないんだなぁ)
といっても、そんなに頻繁に友達の友達に遭遇するわけじゃない。……けれど、高校に入ってからというもの、どうにも友達の友達に話しかけられたり認識されることが増えた気がする。
例えば最近の話だと、先月キッドの友人なのかよくわからないけど(本人は違うと否定しているので)、とりあえずキッドの知人らしいトラファルガーくんに会った時。学食で私がトラファルガーくんの後ろに並んでただけなのに、「……お前、ユースタス屋のとこのやつか。変わったやつだな」といきなり言われた。変わったやつ、の理由がイマイチよくわからなかったけれど、とりあえず「ユースタス屋って、あいつなんか店やってるんですか」と言ったら笑われた。意味がわからなかった。
そして私は気づいたのだ。
私の友人自体がちょっとまぁうん、あれだから、友達の友達もちょっと変わってる人が多いんでしょうね。
言っとくが彼らはパッと見不良っぽいけど普通に良い人だから問題ない。変わってるけどやっぱり良い人なので多分きっと大丈夫!
………と、話を戻すけれど。
「なぁ、なまえって誰だ?」
ざわっと、クラスの所々でどよめきがおこる。私も口開けたマヌケ面になってしまった。
(と、……友達の友達とは認識してたけど……!)
ばちん。
まだどうしていいかわからないままの混乱状態だったのに、教室のドアにもたれかかる彼―――そう、友達の友達たる彼。しかもただの友達の友達じゃなくて、うちの学校じゃかなりの人気者で人当たりよくて色んな部活から助っ人とかで引っ張りだこ、な友達の友達。
その彼と……思いっきり目を合わせてしまった。
(う、うわああ、生で初めて見た……!!)
ニコリと邪気のない笑顔を向けられ、そのまま友達の友達――サボくんは、私の机の前まで歩いてきた。少なからずミーハー要素がある私としては、緊張MAXである。クラスメイトの視線も重なって頭パーンしそう。何ようだサボくん……!
「お前がなまえ?」
「う、うん……」
「そうか!俺、サボ。C組な」
「あ……F組のなまえ、です…」
はたっと、言ったあとに気づいた。
考えてみりゃサボくんは私の教室を訪ねにきたわけだから、クラスなんか言わなくてもわかったでしょうに……!うわあああ、はっず!マジはっず!!ついでに今視界に入ったキッドがうえーって顔してた!私だって緊張くらいするわバカ!あとで文句言ってやろ!!
消化出来ない恥ずかしさをキッドに向けていたら、サボくんが楽しそうに笑っていた。なんでしょう、と首を傾げて見上げれば、「聞いてた通り面白いんだな!変わってる」と笑いながら言う。おいちょっと……!サボくんにまで変わった子扱いされちまったよ、ジーザス!!
「……あ、あの……それで…」
「ん?」
「一体なんのご用件で……」
もうダメだ羞恥心に耐えられん!!というあれで私から流れを変えてみようとしたら、そこでやっとサボくんも用を思い出したらしく、あぁと声が漏れた。
「いや、大したことじゃないんだ。エース知ってるだろ?あいつが昔からなまえ……あ、なまえちゃんの方がいいか。なまえちゃんの話するから、おれも気になっててさ」
「え……?あいつ一体何を話して……」
内心はサボくんにちゃん付けされたあああ!状態だけど、そろそろ冷めてきた。っていうか今ちゃん付け自慢してやろー、と思ったけど、私の周りにはそういうミーハーな子はいなかった。そもそも女の子の友達が少ないんだけどね!そして数少ない女友達はみんな男に興味ないからもう、意味なかった!!
ならいっかー、とトラファルガーくんに話しかけれた時と同じくらい気を抜いてみたけど、サボくんも気にする様子はなかった。良かった。
「なんかさ、気にいってんだろうな。羨ましいよなぁ」
「羨ましい?」
「あぁ。だってエースさ、おれとなまえちゃんが同じ高校って教えてくれなかったんだぜ?話すくせに紹介はしねェとか、のけ者にされた気分」
「あー……私はまず、ついこの間サボくんの名前をエースから聞きました」
「えっ、マジで!?」
あいつは……!とサボくんが苦笑い。それは確かにのけ者っぽいなぁ、私でも嫌だわ羨ましいわ。
仕方ないやつだな、なんて二人して笑っていれば、サボくんがふとポケットから携帯を取り出した。
「アドレス交換しないか?」
「うっわやったー。こちらこそ是非是非!」
がさごそと鞄から携帯を取り出して赤外線。
暫くエースには秘密にしてやろうか、なんて打合せしてからタイミングよく予鈴がなったので、サボくんはまたな、と手をふった。
図らずも友達増えた……!すっごく嬉しい。
ほくほくとアドレス帳を眺めていれば、「なまえ!」サボくんが、教室のドアのとこから呼び掛けてきた。
「今度、遊ぼうな!」
じゃあ!と返事を聞かずに走っていったサボくんは、爽やかだなと思った。いい逃げなとこがいいよね!サボくん噂通り良い子だった。
友達の友達って繋がりも悪くないなぁなんて思う。
そんな頃です。
……あ、ちなみにキッドについては、この間窓ガラス割ったってのをあとでマルコ先生に密告しといたから、しっかりやり返しておいたよ!!
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友達の友達っていうのって、なんとも微妙な関係だと思う。相手の顔もエピソードも知ってるのに実際は全く話したことなんかなかったり。お互いが友達の友達と認識してる時もまた一瞬戸惑う。いや戸惑うも何も、やっぱり話したことなんかないのだから、偶然話す機会が出来ちゃった時に話せばいいんじゃないかとは思ってるけど。思ってるけどけど。
(……なぁんか、私の友達の友達は、みんな気にしないんだなぁ)
といっても、そんなに頻繁に友達の友達に遭遇するわけじゃない。……けれど、高校に入ってからというもの、どうにも友達の友達に話しかけられたり認識されることが増えた気がする。
例えば最近の話だと、先月キッドの友人なのかよくわからないけど(本人は違うと否定しているので)、とりあえずキッドの知人らしいトラファルガーくんに会った時。学食で私がトラファルガーくんの後ろに並んでただけなのに、「……お前、ユースタス屋のとこのやつか。変わったやつだな」といきなり言われた。変わったやつ、の理由がイマイチよくわからなかったけれど、とりあえず「ユースタス屋って、あいつなんか店やってるんですか」と言ったら笑われた。意味がわからなかった。
そして私は気づいたのだ。
私の友人自体がちょっとまぁうん、あれだから、友達の友達もちょっと変わってる人が多いんでしょうね。
言っとくが彼らはパッと見不良っぽいけど普通に良い人だから問題ない。変わってるけどやっぱり良い人なので多分きっと大丈夫!
………と、話を戻すけれど。
「なぁ、なまえって誰だ?」
ざわっと、クラスの所々でどよめきがおこる。私も口開けたマヌケ面になってしまった。
(と、……友達の友達とは認識してたけど……!)
ばちん。
まだどうしていいかわからないままの混乱状態だったのに、教室のドアにもたれかかる彼―――そう、友達の友達たる彼。しかもただの友達の友達じゃなくて、うちの学校じゃかなりの人気者で人当たりよくて色んな部活から助っ人とかで引っ張りだこ、な友達の友達。
その彼と……思いっきり目を合わせてしまった。
(う、うわああ、生で初めて見た……!!)
ニコリと邪気のない笑顔を向けられ、そのまま友達の友達――サボくんは、私の机の前まで歩いてきた。少なからずミーハー要素がある私としては、緊張MAXである。クラスメイトの視線も重なって頭パーンしそう。何ようだサボくん……!
「お前がなまえ?」
「う、うん……」
「そうか!俺、サボ。C組な」
「あ……F組のなまえ、です…」
はたっと、言ったあとに気づいた。
考えてみりゃサボくんは私の教室を訪ねにきたわけだから、クラスなんか言わなくてもわかったでしょうに……!うわあああ、はっず!マジはっず!!ついでに今視界に入ったキッドがうえーって顔してた!私だって緊張くらいするわバカ!あとで文句言ってやろ!!
消化出来ない恥ずかしさをキッドに向けていたら、サボくんが楽しそうに笑っていた。なんでしょう、と首を傾げて見上げれば、「聞いてた通り面白いんだな!変わってる」と笑いながら言う。おいちょっと……!サボくんにまで変わった子扱いされちまったよ、ジーザス!!
「……あ、あの……それで…」
「ん?」
「一体なんのご用件で……」
もうダメだ羞恥心に耐えられん!!というあれで私から流れを変えてみようとしたら、そこでやっとサボくんも用を思い出したらしく、あぁと声が漏れた。
「いや、大したことじゃないんだ。エース知ってるだろ?あいつが昔からなまえ……あ、なまえちゃんの方がいいか。なまえちゃんの話するから、おれも気になっててさ」
「え……?あいつ一体何を話して……」
内心はサボくんにちゃん付けされたあああ!状態だけど、そろそろ冷めてきた。っていうか今ちゃん付け自慢してやろー、と思ったけど、私の周りにはそういうミーハーな子はいなかった。そもそも女の子の友達が少ないんだけどね!そして数少ない女友達はみんな男に興味ないからもう、意味なかった!!
ならいっかー、とトラファルガーくんに話しかけれた時と同じくらい気を抜いてみたけど、サボくんも気にする様子はなかった。良かった。
「なんかさ、気にいってんだろうな。羨ましいよなぁ」
「羨ましい?」
「あぁ。だってエースさ、おれとなまえちゃんが同じ高校って教えてくれなかったんだぜ?話すくせに紹介はしねェとか、のけ者にされた気分」
「あー……私はまず、ついこの間サボくんの名前をエースから聞きました」
「えっ、マジで!?」
あいつは……!とサボくんが苦笑い。それは確かにのけ者っぽいなぁ、私でも嫌だわ羨ましいわ。
仕方ないやつだな、なんて二人して笑っていれば、サボくんがふとポケットから携帯を取り出した。
「アドレス交換しないか?」
「うっわやったー。こちらこそ是非是非!」
がさごそと鞄から携帯を取り出して赤外線。
暫くエースには秘密にしてやろうか、なんて打合せしてからタイミングよく予鈴がなったので、サボくんはまたな、と手をふった。
図らずも友達増えた……!すっごく嬉しい。
ほくほくとアドレス帳を眺めていれば、「なまえ!」サボくんが、教室のドアのとこから呼び掛けてきた。
「今度、遊ぼうな!」
じゃあ!と返事を聞かずに走っていったサボくんは、爽やかだなと思った。いい逃げなとこがいいよね!サボくん噂通り良い子だった。
友達の友達って繋がりも悪くないなぁなんて思う。
そんな頃です。
……あ、ちなみにキッドについては、この間窓ガラス割ったってのをあとでマルコ先生に密告しといたから、しっかりやり返しておいたよ!!
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