私の家には居候がいる。長身と長髪で六条一間を占領する、綺麗でやかましい幽霊みたいな何かがいる。
「アイス食べよっかなー」
「その前に扇風機買ったらどうだい?」
「なんで勝手に住み着いてる人のために買わなきゃいけないんですか。私暑くないし」
「だってこの暑さで汗一つかかないって、いくら日当たり最悪の間取りとはいえおかしいだろう。キミ実は雪女だったりしない?」
「私が雪女だったらとっくにあなたを凍らせて外に放り出してます」
「キミの腕力じゃあ持ち運べないから意味ないと思うけど」
「は?気合と根性で引きずりますが?」
「逆ギレかい?暑さで気が立っているみたいだね」
「責任転嫁のプロか」
「ほら、クーラーつけようよ。なんのために設置してあるんだい」
「掃除してないしリモコンもないです」
「掃除したしリモコンもここにあるよ」
「有能」
「そこはありがとうと言ってほしいかな」
「ありがとう、窓閉めて」
「扱いがさぁ……あ、雨降りそう」
出会って二度目の夏のことである。