「おはよう、女主」
廊下を歩いていた女主は、背後から声をかけてきたセドリックを見て固まった。
女主は早起きのグループの中でも特に早起きだと自負している。習慣となったそれは休日でも変わらず、今日は少し寝坊したが、それでもまだ外は薄暗い。目的地である大広間も、天井の朝日よりロウソクの方が明るく見えるだろう。つまり、セドリックが起きるには早すぎるのだ。
女主はすぐさま半分以上眠っていた頭をフル回転させ、なるべく平然を装って挨拶を返した。
「おはよう、セドリック。今日は随分早いみたいだけど、先生の手伝いでもあるの?」
「いや、あー……なんとなく、目が覚めちゃって」
セドリックは言葉を詰まらせながら答えた。あらゆる方面で優秀な模範生と言われているが、嘘をつくのは苦手らしい。そんなところも彼の人気に火をつける要因なのだろう。たまに嘘をつくことはあるが、基本的には誠実なハッフルパフ生であることに誇りを持つ女主はセドリックをフォローするつもりで言った。
「今日の私と逆だね。なかなかベッドから出てくる気分になれなくて、二度寝しちゃった。休日だからかな?」
「え?」
セドリックは顔を強張らせた。
「僕の見間違えじゃなければ、朝日が出たばかりなんだけど……君、一体何時に起きてるんだい?」
お互い朝に会うだけの二人。
そのうち出張したハグリッドに代わってファングの餌やりをして朝食が遅くなるのを、嫌われたんじゃってセドリックが心配する。