満面の笑みで元気よく手を振りかざす友人に手を振って帰路に着く。王道の赤いランドセルを背負って住宅街の中を歩けばものの数分で目的地まで到着。
初夏。
じんわりと肌を焦がす日の光がだんだん強くなってきた。早くクーラーが効いた涼しい部屋に帰りたいと思いつつドアノブを回せばローファーが一つ脱ぎ捨てられていた。
「 ただいまあ 」
「 おかえり名前ちゃん! 」
「 ただいま、奈々さん。靴があるけど、ツナくん、また学校サボったの? 」
「 そうなの、今さっき学校から連絡あったのよ。もう、全くあの子将来どうするつもりなのかしら! 」
可愛らしくぷりぷりと頬を膨らませて怒る奈々さんに内心和みつつ、ランドセルを置く。机の上に1枚だけ置いてあるメモ用紙の中には今日の晩ご飯になるであろうたくさんの食材が綺麗な字で書かれていた。
「 買い出し? わたしが行ってくるよ 」
「 ありがとう助かるわ! 実はこの後ツっくんの家庭教師の人がお前になるから家あけられなくて 」
「 家庭教師…? えええ、ツナくん、ついに専属の勉強の先生つけることにしたの!? 」
「 そうなの! " お子様を次世代のニューリーダーに育てます 学年・教科は問わず リボーン " なんていう面白いチラシがポストに入っていたのよ! ステキでしょ? 」
す、素敵かなあ…? 怪しい押し売りとかじゃないのかなあ… と、言いたかったけどなんとか飲み込んだ。苦笑いをしつつお買い物鞄とメモと財布を持って商店街に向かった。
* * *
「 お肉買った、玉葱にお芋、人参に白滝も買ったしお醤油とお塩も買った…。きゅうりもあるしこれで全部かな? 」
お買い物鞄の中に詰められた食材。食材からするに、今日の晩ご飯は肉じゃがかなあ。きゅうりはお漬物か何かにするのかなあ。まあともあれ16時回っちゃったし早く帰らないと…!
少し駆け足で歩いていると、女性の叫び声と「 ヘンタイ野郎! 」と怒鳴る男性の声が聞こえた。
『 嗚呼、名前ちゃん、さっきそこでパンツ一枚の変質者が叫んで走り回ってたって目撃情報あったみたいだから気をつけてね 』
帰り際、お肉屋さんでそう言われた一言を思い出した。ヘンタイ野郎って…… もしや、お肉屋さんが言っていたパンツ一枚の変態が現れたんじゃないだろうか……!
ジャッポーネは変な人が多いイメージがあったけど、こんな身近に現れるなんて…! なんて声の聞こえた方の角を曲がると、見慣れた人がいた。パンツ一枚で。
「 …… ツナくん? 」
「 名前!? わ、ちょ、! 恥ずかしッ 」
ぼんっと顔を真っ赤にして前で色々裸体を隠すツナくん。隠れきれて無いけども。
「 パンツ一枚の変質者が出たから気をつけなさいねって言われたんだけど、それってツナくん…? 服は? 」
「 最悪だ、名前に見られちゃったよ…… どうしてくれんだよリボーン!! 」
聴き慣れない名前が紡がれた。
" リボーン " ?
以前にどこかで聞いたことが有るような、無いような。イタリアにいた時に誰かが言ってた名前だったかな…。
うんうんと思考回路を巡らせる。
ふと、足元から視線を感じたので視線を落とせば黒い帽子を被った赤ん坊がそこにいた。
「 ちゃおっす 」
「 ちゃお… 」
この身の丈の低さ、マーモンを思い出すなあ。あ、黄色いおしゃぶり… 晴れのアルコバレーノかな。どうしてこんなところに…
「 オレはリボーン。マフィアボンゴレファミリーの殺 」
「 わわわ!! 名前になんてこと吹き込むんだ!まだ小学生だぞ!? 」
ツナくんがリボーンと呼ばれたアルコバレーノの口を塞いで怒る。
「 ボンゴレ、…… 」
思わずその言葉を繰り返してしまった。
" お子様を次世代のニューリーダーに育てます 学年・教科は問わず リボーン なんていう面白いチラシがポストに入っていたのよ! ステキでしょ? "
奈々さんのその言葉を思い出してひゅ、と呼吸が乱れた。
どうして今ここにボンゴレが……? 家光のやつ、自分でわたしのことを引き取っといて感じはまた別の人にやらせるつもり…? それとも別の目的が、…?
どうしてツナくんに、家庭教師として最強の赤ん坊であるアルコバレーノが送り込まれたの…? なんの目的が、……?
思わず歯を強く噛めば奥歯が削れる音がした。
考えたって仕方がない、
今のわたしには情報が制限されているんだから。
「 …風邪ひくから帰ろうツナくん 」
お買い物袋を持っていない片方の手でツナくんの手を握る。焦ったように返事をしたツナくん。
当然、パンツ一枚の男の手を引く女の子なんて周りから見たら異様な光景であるのでたくさん視線を注がれてしまった。
* * *
「