Still
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『ジェネシス……』
そう呼ぶより早く、なまえは彼のコートの端を掴み引き止めた。
「なまえ……?」
なまえの咄嗟の行動に目を見開いたジェネシスだったが、引き止めた張本人が自分より困惑している姿に笑みが零れる。
「なまえ、どうした?」
「ご、ごめん。何でもないの」
穏やかな声色で尋ねたジェネシスに、なまえは熱を持った頬を俯き隠しながら取り繕うが、ジェネシスがそんななまえを見逃すはずは無かった。
「フッ、それは残念だな」
「えっ?」
ジェネシスの言葉に顔を上げたなまえ。そこへすっと伸ばされたジェネシスの指先はなまえの首元にそっと触れ、なまえの耳元に近付けられたジェネシスの唇からは囁きが漏れる。
「もう少し、一緒に居たいんだろう?」
間近に迫ったジェネシスは、まるで宥めるかの様な顔をしてなまえを見つめた。そしてそんなジェネシスを見てなまえは胸が苦しくなる。
──ジェネシスは鋭い。そして優しい。
だからルーファウスと何かあったと感じながらも、なまえが何も言わないなら深入りはせずとも、なまえが咄嗟に取ってしまった行動から、なまえの何かしらの不安を感じとったのだろう。
「引き止めたのはなまえの方だったな」
彼の強引な言葉の裏。
そこには素直に甘えられないであろうジェネシスからのなまえへの優しさがあり、なまえもまた、そんな彼の心遣いに気付かないほど幼くは無かった。
「もう少し……ね……」
どんなに取り繕っても一枚も二枚も上手なジェネシスに、白旗を上げたなまえが遠慮がちにそう呟くとジェネシスはふっと笑みを零す。
それは彼女が自分に心を許してくれているのだという安心感と、一緒に居たいと思ってくれている彼女への愛しさがもたらしてくれた笑みだった。
CONTINUE...
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