玄奘三蔵
「わぁー、賑やかな街」
どっかのバカ猿と同じような顔して周りを見渡すあいつは、決まって俺の数歩後ろを歩く。初めこそ気にならなかったが最近は妙に気に入らん。
他の奴らの隣には並ぶ癖に、俺の隣だけは絶対に歩こうとしない。現に今、二人で歩いているというのにこの様だ。
「おい、てめぇはいつも、何でそうなんだ」
「何?何か変?」
――このバカ女。
どう見ても不自然極まりないだろうが。
チッと舌打ちをし煙草を銜えて歩を速めた。するとバカ女が小走りに追い掛けてくる。俺の数歩後ろまで。
「おいバカ女、そんなに俺の隣は嫌か」
急に立ち止まり振り返ると、俺を睨み付けたお前が言う。
「あのね、私は三蔵の為を思ってしてるのにバカ女は無いでしょ!三蔵様が女の人と歩いてるなんて後ろ指さされるのなんて嫌じゃない!……それに」
チッ、どうやらこいつは本物のバカだったらしい。
煙を吐き出し、数歩後ろに居るお前の目の前で止まり手を掴んだ。
「てめぇは俺を誰だと思ってんだ」
「……玄奘三蔵」
「解ってんなら隣を歩け」
お前は黙って、俺の隣を歩けばいいんだ。