「本当に行くの?」
「……あぁ」
そう答えた俺の腕の中でお前は溜め息を吐き出し俯いた。唇を噛み締めて必死で涙を堪えているお前は、本当によく解ってる。
俺は明日、旅に出る。
その道中は危険が伴うだろうし、無論お前を連れてくなんて出来ねぇ。
死ぬつもりなんざさらさら無ぇが、いつ帰って来るとも解らねぇのに、待ってて欲しい等と言うのもお前を縛る様で言いたく無ぇんだよ。
お前は、そんな俺をよく解ってるから、"連れてって"とも"待ってるから"とも言わない。
口約束に成り下がるのは御免だ。
重なった体を更に引き寄せて、何度も交わす口付けに、言葉に出来ない想いの強さを分け合いながら。
どこに居ても……。
いつまでも火照ったこの体を、冷たい風が撫でていっても、お前の温もりを忘れぬ様に、恋しくならぬ様に。
この腕と心にしっかりと抱き締めて。
俺は明日、旅に出る。