裏には裏

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──ボフッ。

「なまえ……」


巻き上げた煙の中、目の前で聞こえるカカシの声。横目で辺りを見やれば分身はすっかり消えていた。


やっぱりこれが本物か……。


そう心の中で呟くと同時に拳に力を込めた。



「なまえ、これでゆっくり愛を確かめ合えるネ」



カカシがにっこりと微笑む。だからわたしも微笑んで、カカシの首に回した手を一気に振り上げて打ち付けた。



───ゴンッ!


そんな音が響いたが、それは違和感しかない音と感触で、まるでよくできた人形のような感触だったのだ。


……ヤバい、やられた。生身の感触じゃない。そう思った瞬間、嫌な汗が流れる。


「ざーんねんだったネ、なまえ」


───ボフッ。


本体だと思っていた目の前のカカシが消え、死角となっていた背後から声が聞こえる。


恐る恐る振り返ったわたしの目に入ったのは、満面の笑みでパソコンのコンセントに手をかけているカカシの姿。


「なまえ、甘いヨ」

「カカシ……そ、それだけは……」


コードの弛みがゆっくりと引っ張られ、弛みは次第にピンと張られていく。あともう少しでも引っ張ればコードは抜けてしまうだろう。


「カカシっ、待っ……」


せめて今のところまで保存させてとすがる目でカカシを見るも、そこには悪魔が君臨していた。


カコッ──……。



今、パソコンの画面消えたね。もう少しで終わるところだったんだよね。


「……カ、カ、シー!!」










これは、まだクローゼットが閉じる前のお話。毎日の様にカカシがなまえの部屋に入り浸りっていたある日。


それはそれはカカシの雷切よりも数倍強力な、なまえの怒号という雷がカカシの頭上に落っこちた。



「カカシっ!もう絶対許さないからねっ!」


Fin

(next)あとがき
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