一日を終え、自室のベッドに飛び乗るように倒れ込んだ片割れがこちらを見上げてそう尋ねた。コロコロと気分の変わりやすい彼の本日の興味の対象に選ばれたのは今何かと話題の一年生…オンボロ寮に暮らす異世界から来たという監督生、らしい。
つい先日アズールのオーバーブロット事件にも関わっている人物で、友人をイソギンチャクから解放するためにわざわざ海底にあるアトランティカ博物館まで赴き、それどころか僕やアズールたちを出し抜いた興味深い存在。
興味深い相手、と認識している自覚はあったものの、どうやら片割れから見ればそれは気に入っているように見えるらしい。そう言われ頭の中で彼女のことを思い返してみれば、真っ先に浮かんだのは慣れない水中で不安そうな顔をしながらも眉を顰めコチラをじっと睨む幼い顔だった。
なるほど、確かに。気に入っているのかもしれない。
緩やかに上がる自分の口角に不思議な気持ちになりながら小さく笑うとこちらを見上げるフロイドがどこか冷めた目で顔を歪ませた。
「どうして気に入っているんでしょうね」と呟くと「それ俺が聞いてんだけど?」と不機嫌そうなフロイドの声が聞こえた。
魔力もなく、自分一人の力ではなにも出来ない。脆弱で非力な人間を気取っている癖に、こちらを見る目は何時だって真っ直ぐで純粋な小さな人間。どうしてこんなにも気になるのかは自分でも理解出来ないが、この感覚は何となく嫌いではない。
明日会った時にこの感情について伝えれば、あの人間はどんな反応を返すのだろうか。
朝が明けることが楽しみだとは言わないが、少なくとも暫くは退屈はしないかもしれない。
そんな期待を胸に抱えて眠りにつく夜は、案外心地が良いものだと知った。