時計を見れば14時を回り、ご飯を食べていないことに気づいた。
何か作る気もなく買い物がてら外で済まそうと思い出かける準備をした。
簡単な化粧と髪をまとめ、服を着替えた。
鏡を見て気づいたが首に赤い小さな出来物のようなものがあった。ぷくりと膨らんだニキビのようなものではなく、かぶれのような平たい膨らみと赤み。
痒みはなかったが赤色が鮮明で気になった。
広がるようなら皮膚科にでも行こう、とその場はやり過ごすことにした。
外は風が冷たかった。
あまり食欲はなかったが、何を食べようかと考えているうちにお腹が鳴った。
思いの外寒かったため温かいものが食べたいと思い、繁華街のうどん屋に入ることにした。
1人ですと伝えればすんなりと席に案内され注文をした。
お昼時からずれているせいかお客は少なかった。
うどんを啜り、ほう、と息をつく。
家では食べれないような出汁の旨味と天ぷらが美味しく、空になっていた胃が満たされていった。
「いっ…」
急に痛んだ首を押さえた、ピリッとした痛みだった。
押さえた手のひらを確認したが血が出ているわけではないようだ。
痛みは一瞬で今はどうってことがなく首を傾げた。
痛んだところは朝見た出来物のところな気がして近いうちに皮膚科に行くべきだと確信した。
700円ね、と店員のおばちゃんに言われ会計を済ませた。
外に出ればうどんで身体が温まったのか寒いとは感じなかった。
繁華街は休日ということもあり人で賑わっていた。
冬に向けて服を買いたいと思い、ファッションビルへと足を進めた。
人混みはどうも苦手だったがあの夢を見始めてからどうも安心を覚えた。
人がいる、人のざわめきか安心した。
ねえ、見てあの人
すごいね
モデルかな?
かっこいいね
コソコソと声が聞こえた。
立ち止まる若い子たちが話していた。芸能人でもいるのだろうか。
芸能人がいるなら見たいという少しミーハーな気持ちが生まれ、注目の的となっている人に目を向けた。
そしてその人を見た瞬間また首がピリッと痛んだ。
「いっ」
痛む部分を押さえ、痛みに堪えるよう爪を立てた。
ガリッと勢いあまり引っ掻いてしまい、爪先に血が滲んだ。
じわじわと痛みは引き、今度は引っ掻いた痛みが広かった。
もう一度顔を上げればあの人。
サラリとした銀髪が揺れた。
視線が絡んだ。
『なまえ』
また誰かの声がした。
ハーフなのだろうか目の色が日本人とは違った。その金色は鋭く、人を視線で貫くことは容易いことだった。
その人が動けば遠巻きに見ていた人が息をついた。それほど歩く姿は美しかった。
そして私のすぐ横を通り過ぎた。
私は動けずにいた。
本当に一瞬だけ、その人の長い指が私の顎から首をスッと撫でたのだ。
本当に一瞬だった。誰も気にも留めない、誰も気づかないくらい一瞬の話だった。
「え?」
振り返った時にはそこには行き交う人々で溢れていた。
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