ずきり、と頭に痛みを感じて目を開くといきなり飛び込んできた人工的な光に目を細める。ぼやけた視界が徐々に鮮明になっていくのを待ちながら、片手で頭を抑える。


くっそー……、めっちゃ痛い……。なにこれいたい……。


収まる気配のない頭痛に顔を顰めながら、自分の置かれた状況を理解する。
なぜか見覚えのない喫茶店らしき場所にいる私。出かけた覚えもなければこんなにお洒落な喫茶店を知っているわけじゃない。

はて、ここはどこだろうか。


いまだ顔を顰めたまま辺りを見渡すと、見覚えのない場所ではなかった。その場所に訪れたことはなくとも見知った場所――喫茶店、ポアロ。


理解しようとも追いつかない頭にぐるぐると視界が回ってきたような気さえしてくる。意味のわからない現状にとりあえずこの場を去ろうとするも、机にうつ伏せる状態で寝ていたのか、血流が悪くなり痺れていてとてもじゃないが動かせる状態ではない。


できるだけ刺激を与えないようにしていても、意識をすればするほど刺激を与えてしまっていて意味がない。
落ち着くのを待っている間は、考え事なんて出来やしなかった。


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