はじめまして

シンオウ地方のとある洞窟。
珍しい石を探し求めてこの地にやってきたダイゴは、自慢のスーツが汚れていくのも大して気にせず、今日も時間の許す限り石の採取に勤しんでいた。

「メタグロス、この岩を退かしてくれ」

到底人の力では動かせない程の頑丈な岩が、メタグロスのサイコキネシスによってふわりと浮いて移動する。「ありがとう」と美しく輝く冷たい鋼鉄の体に手を触れて感謝を伝えると、メタグロスは「どういたしまして」という風に返事をした。

こうして相棒ポケモン達にも手伝ってもらいながらダイゴは採掘を進めていく。
すると、どこからか来た風がダイゴの髪を揺らした。

(出口が近いのか?……いや、この音は…)

ダイゴが歩む進行方向の先から、羽音が響く。洞窟内に生息するゴルバットの羽音にしては大きく、風を巻き起こす力も桁違いだ。この洞窟は高さのある空洞ではあるものの、鳥ポケモンが生息出来る環境でもない。
ダイゴとメタグロスが正体不明の生き物との対峙に身構えるが、その音はあっという間に大きな音となって一直線に近づいて来る。

その正体はシンオウには生息しない筈のアーマーガアだった。
アーマーガアは動きづらそうに大きく逞しい羽を羽ばたかせているが、それでも尚このポケモンが巻き起こす風圧は強い。アーマーガアを目の前にしたメタグロスがダイゴを守る様に前へ出る。
ダイゴは風に乗って飛んでくる土埃から身を守るために顔を腕で覆いつつ、慎重に様子を伺った。

生息地ではない場所、大型の鳥ポケモンが生息できる環境ではない事を考えても野生ポケモンの可能性は極めて低いだろう。そうなると、トレーナーのポケモンという事になるが、肝心のトレーナーの姿が見当たらない。
アーマーガアはダイゴ達を一瞥すると、目の前で地上に降りて羽を畳み、ダイゴ達を見つめて何かを訴える様に鳴いた。どうやら、攻撃の意思は無いようだ。
メタグロスに合図を出して、ほんの少し警戒を緩めさせる。攻撃の意思がないと言っても、こちらから敵意を示してしまうと状況が一転する可能性があるからだ。
あまり見慣れない他地方のはがねタイプのポケモンに好奇心をそそられるが、そこはぐっとこらえて何かを訴えるアーマーガアに語りかける。

「どうしたんだい?ボク達に何か用かな?」
「ガアッ!」
「…うーん。キミのトレーナーはどこにいるのかな?迷子かい?」
「ガア!ガア!」

アーマーガアは付いてこいと言わんばかりに、先程自分が来た道を翼で指し示して鳴いていた。
ダイゴはメタグロスに目配せをし、共にアーマーガアの元へ歩き出す。
ダイゴ達が歩き出したのを見てアーマーガアは彼らを先導する様に歩き出した。