2018/08/25

ありがとう、夏100回、これからも。

 今や日本で夏といえば甲子園と言われるようになった高校野球、夏の大会が終わりましたね。
 O阪桐蔭高校さん、優勝そして史上初の二度めの春夏連覇おめでとうございます!

 皆さんが存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は高校時代に大阪のとある公立高校にて野球部のマネージャーをしていました。なので、本当にO阪桐蔭の強さもより分かっていると自負しています。
 激戦区といわれている大阪を勝ち抜くのは、本当に難しいんです。今年は記念大会のため北と南に分かれたとはいえど、すごく難しいんです。私は南地区なのですが、中でも北はやはり強豪の中の強豪といいましょうか。
 そんな中、打倒O阪桐蔭を名目に奇襲策を練り捨て身でかかってくる強豪相手に彼らは本当に粘り強く勝ったと思います。
 準決勝のR正社との試合には本当に痺れました。たまたま9回父Aウトランナー無し、1点ビハインドの場面から見たのですが、これこそが“強いチーム”なんだと思いました。鳥肌が立って仕方ありませんでした。

 去年。レギュラーに4,5人もの二年がいるという、まさに二年主体のチームで戦った夏の甲子園。メディアでもよく取り上げられていますが、三回戦のS台育英戦。9回2アウトを1点リードで迎えあと1アウトで勝利のとき。現在キャプテンのN川くんのベースの踏み外しで勝利の瞬間が訪れることがなくなり、それからマウンドにいた現エースのK木くんがセンターオーバーのさよならタイムリーを打たれてしまいました。テレビでその試合を見ていた私は、彼らを応援していた私は、思わず涙が出ました。こんなことって、本当にあるんだと思いました。観客にとっても、そしてもちろん当事者の彼らにとっても、高校野球の怖さをどっぷりと味わうような試合だったと思います。

 2年主体だったチームが、自分たちのチームになり、周りからは勝って当たり前といわれるプレッシャーがあったと思います。「勝ちすぎて面白くない」なんて辛辣な言葉もあったと思います。寄せ集めのチームとよく言われていましたが、果たして本当にそうでしょうか?
 私が高校野球部のマネージャーとして迎えた最後の夏の年。O阪桐蔭が甲子園の切符を手に入れ、甲子園に出場しました。そのとき、嫌な気など一切しませんでした。エリートばかり集めた寄せ集めのチームというだけで優勝なんて出来ないからです。彼らは本当に、日本一の厳しい練習を重ねて、その上でのセンス、技術を磨き、強さを手に入れたからです。そんな彼らに、負けろなんて思えないのです。思うわけがありません。
 頑張ってるのは、高校球児みんな同じなんです。それでもやはり、強豪というのは「青春」というものを代償に野球に打ち込むため、親元を離れ野球だけをやりにいく。私が所属した公立野球部ももちろんみんな頑張っていましたが、彼らはそれよりも意識、練習量、全てが違います。もちろんそれは、私の所属していた野球部の部員たちも分かっています。

 ただ、何度も言いますが、メディアの取り上げ方にもより「彼らは全国から集めたエリート集団」=優勝して当たり前という方程式が成り立ってしまい、そのプレッシャーは計り知れなかったと思います。選手も、「準優勝以下は褒められない」むしろ、一つの大会だけで優勝しても褒められない。春夏連覇してこそ、ようやく認められるチームだと思っています。それって、どれほど大変なことか。春夏連覇って、どれほど難しいものなのか。それだけを目指してきた選手なんです。強いに決まってるんです。
 
 決勝を制し、春夏連覇を成し遂げ、キャプテンのN川くんがアルプスに礼をした後に泣き崩れる姿を見て本当に心を打たれました。優勝インタビューで言葉に詰まってしまう彼を見て、思わず涙が出てしまいました。
 去年の悔しい負け方、責任から 「勝って当たり前」といわれるチームのキャプテンの重圧。高校生がひとりでそれを背負うのは、どれほど大変なことだったんでしょうか。私たちには分かるはずもありません。ただ、分かるのは彼は本当に頑張って、ようやく彼が重圧から解放され、報われたということ。本当に本当に良かったと思います。心からおめでとう、と言いたいです。

 一方のK足農業も、大エースY田くんを筆頭に数々の強豪を、しかも劇的な勝ち方で決勝まで駒を進め旋風を起こしました。元公立高校の野球部マネージャーとしては、やはり公立高校でも甲子園で戦えるんだ、という希望や夢を、公立の球児たちに与えられたと思います。感動をたくさんいただきました。

 ただやはり、決勝の甲子園がほとんどK足農業の応援というアウェイの中、いつものように最後まで勝利にとことん追求し、自分たちの野球を貫いたO阪桐蔭も凄いと思います。「空気を読め」なんて言葉、なぜ投げかけられるのだろう?と思いました。手を抜くというのは、相手チームに対して最上級の侮辱と見下し行為。最後まで全力で戦うのは、相手チームをリスペクトしてるからこそです。その辺りがやはり、今回の甲子園で一番悲しかったように思います。

 今や国民的なイベントとなっている、甲子園。しかし、それは決してアーティストのコンサートや俳優たちによる舞台ではありません。「そのチームが秋の大会、春の大会を経て、一年間練習してきて、集大成である夏の大会」です。夏の大会で、弱小でも強豪でも3年生の選手はみな引退なのです。
 だからみんな、最後の大会を勝ちに行きたい。地方大会から戦い、全国大会で甲子園に行くことを夢とする。観客の見せ物ではありません。選手たちの大会なんです。

 近年の高校野球人気に伴い、この当たり前のようなことを忘れ、今回のように「O阪桐蔭が優勝するのは面白くない」などと言われるようなことは決して許されないです。感動のための大会ではありません。彼らの集大成の大会です。それを、忘れてほしくありません。

 今年の100回記念大会。史上初のタイブレーク、R谷大平安の100勝、そして史上初の二度目の春夏連覇などなど。さまざまなドラマがありました。
 最後まで9人、そして途中降板はありましたがそれまでずっと1人で投げ続けた。他県からのスカウトを蹴り、地元秋田の古豪・K足農業に進学し秋田県に優勝旗を持って行きたい奮闘したチーム。
 エリート集団といわれ、勝って当たり前と言われ続けた。一流の練習環境、チームメイトで己を強くしたいと親元を離れ、数々のプレッシャーと戦いながら、名実ともに「最強で最高の強さ」を誇ったチーム。
 対照的なチーム。どちらにも、数々のドラマがあるチーム。100回記念にふさわしい戦い、そして決勝戦だったと思います。

 高校野球はたくさんの感動を我々に与えてくれます。夏といえば甲子園、と国民的なイベントになっています。しかし、主人公は紛れもなく彼ら球児たちです。国民のための大会ではありません。彼らのための大会です。それを忘れずに、これからも高校野球を楽しんでほしい。そして私も、楽しみたい。


 長々となりましたが、最後に。
 K足農業高校さん、準優勝おめでとうございます。
 O阪桐蔭高校さん、優勝おめでとうございます。そして、史上初の二度目の春夏連覇おめでとうございます。
 そして、この夏を戦った全国の球児。これまで高校野球103年という歴史で、高校野球を魅せてくれた球児たち。国民にたくさんの希望と感動をありがとうございました。
 ありがとう、夏100回、これからも。

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