お初である


「ねー、御幸」
「んー」
「あのさ」
「おー」
「…」
「んー」
「……」
「なんだー」
「まともに聞く気ないでしょ」

 スコアブックばかり見てる奴の視界に頑張って入り込む。そしたら、「気持ち悪い動きすんなよ」とか言われたからムカついてチョップをかました。

「御幸って、今まで彼女何人出来たことあるの」
「あー? なんで」
「答えてよ」
「えーどうしよっかねぇ」
「答えろつってんだよ」
「ひー、こわこわ」

 ようやく御幸がスコアブックから目線を外した。

「そういうみずきちゃんはどーなの」
「え、…反対に何人くらいだと思うの」
「んー俺で五人目くらい?」
「ぶっぶー」
「じゃあ十一人目」
「随分ぶっ飛んだね、しかも私がそんな経験ある子に見える?」
「おー見える。だってお前可愛いもん」
「…そういうこと平気でいうなバカ…」

 済ました顔でいっつも言いやがって、何だよ狙って言ってんのか!

「一人目」
「…ぴんぽーん、せいかーい!」
「え?」
「え?」
「いや、俺は彼女一人目ってこと。お前が初カノってやつ」
「う、うそだあ」
「マジだって。何、さっきのぴんぽーんって。え、もしかして」
「私も御幸が初カレってやつ」
「う、うそだあ」
「本当だし。てか反応マネすんなしバカ」
「俺ら初カレ初カノ? ははっ、通りで初々しー」

 頭をぐしゃぐしゃとかき乱されたかと思うと、今度は優しく撫でてくる。なんか、こういうことでもいちいちドキドキする。まじ御幸にドキドキさせられるとかキモい。

「てか、こうやって頭撫でたりとか超慣れてんだもん御幸。いつも済ました顔してるし余裕そうだし、絶対五人以上は付き合ってると思った」
「はっはは、そう? 自分が初カノで嬉しいの?」
「…なんで? 御幸は嬉しくないの? 自分が私の! 初カレで」
「妙に自分の強調するよな」
「当たり前」
「嬉しいに決まってんだろ、いちいち可愛いなぁお前」
「可愛い可愛いうっさい! 黙れ!!」
「へーへー。で、お前は? 嬉しいの?」
「まぁ、ちょっとだけ?」
「なんで疑問形なんだよ」
「嘘だよ、御幸大好き超嬉しい」
「はっは、そりゃどーも」

160707

   

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