「あのね倉持くん、実はね、あのね、言いたいというか、相談っていうかね、」
「おー、とりあえず話まとめろ」
「うん大丈夫まとめてる!もうすぐで一也の誕生日なのね!」
「あー、確かにそうか?11月の真ん中くらいだっけか」
「そう!それでね、私…一也に日頃の感謝の気持ちを込めてサプライズ計画を企てたいの!」
「よーく考えてみろ、な?お前に隠し事なんて出来ると思うか?ん?」
「出来る出来ないじゃない…やるんだよ!」
「……あのなあ」



「で、サプライズって何してーんだ?」
「そろそろ寒くなってくるし、マフラーでも編もうかなって!せーかいーにひ〜とつだ〜け〜のマフラー!」
「(お、割とちゃんとしたサプライズ…)って、おめぇそんな細かい作業できんのかよ」
「初心者がマフラー編むにはだいたい4日くらいかかるらしいの!」
「じゃあお前は2週間はかかるな」
「そうかなあ?」
「そうだよ!!」



「でもね、私ってばなんとなく分かりやすいって言われるじゃん…?隠し事できないというか、ついパッとこのサプライズのことを一也に言っちゃいそうじゃん…?」
「だな」
「だからどうしようかなって…!そのことをね、倉持くんに相談しようと思ったのね!どうしよう、どうすればいいかな!」
「んなの簡単じゃねーか」
「ええ?」
「2週間、マフラー完成するまで御幸と一切喋んなかったらいいんだよ」



「にににに2週間も!?」
「おー、なんか文句あっか」
「いえ!」
「御幸と一切喋んなかったら、お前がバラすことも確実にねーだろ」
「なるほど…なるほど!さすがだね倉持くんは!やっぱり見かけによらず賢い人って本当にいるんだなあ」
「あ?お前喧嘩売って」
「でも、いきなり2週間喋んなかったら一也に変に思われちゃうよね?なんて理由付ければいいかな?」
「……コイツ」



「うーーん、どうしたら変に思われないだろ…」
「そもそも2週間喋らない時点で怪しさMAXだからその辺は安心しろ」
「そっか!じゃあ安心するね!」
「……」
「じゃあ、“これから2週間喋らないから一也も喋りかけないでね”って言えば大丈夫だよね?」
「さすがにそれは直球過ぎだろ。あれだ、アンタのことなんて嫌い!って言えば完璧だな」
「一也嫌い!って言うの?」
「おー。そしたらアイツも焦るだろうし良いんじゃね?ヒャハ」
「何に焦るのー?」
「…いーからとりあえず嫌いって言えばいいんだよお前は!」
「はあい」



「これから2週間、一也とは会わないし喋らないし顔も合わせないから!あと、一也も私を見かけても無視してね。それじゃあね!……あっ、一也なんか大嫌い!」

「――どうだったかな倉持くん!ちゃんと2週間関わらないって言ったし、大嫌いとも言ったよ!」
「あのなお前…最後の“あっ”て何だよ!“あっ”て!思いっきり付け足してんじゃねーか!俺が焦ったっつの!!」
「ごごめんなさい!つい忘れちゃってて…」
「しかもいつも通りのテンションだし、御幸の野郎のほほんとしてんじゃねーか」
「のほほん」
「おめーは今日からマフラー作りに取り組めよ。2週間で作り切れよ」
「はあい」
「(なんで俺がコイツらのためにこんなに協力してんだ…)」



「倉持くん倉持くん」
「んだよ」
「じゃじゃーーん!マフラー完成したの!どうどう?」
「お、悪くないんじゃね?」
「やったね!」
「にしても本当にギリギリだな、明日だろが誕生日」
「うん!だから結果オーライ!」
「は?」
「それでねそれでね、まだ倉持くんに頼みたいことがあるんだ!」
「………おー」
「誕生日の朝に私、寮の入り口で一也を待ち伏せしようかと思って!倉持くん、いつも一也と学校来てるでしょー?だから、いつもより早めに寮から出して欲しいの!」
「まあそんくらいならいいけど」
「やったね!あとね今日は一也が部活行ったら一也の机に私の手紙を置いて造花で可愛く飾り付けるのー!」
「造花…」



「エイチビーディー!」

 御幸をいつもより20分も早く連れ出し学校へ行くと装い、寮を出た瞬間にこの2週間聞きまくった女の声が大きく響いた。完全邪魔者な俺はサっと寮の出入り口の二人から死角のところで、奴らを見守る。エイチビーディーってな、お前。それに御幸ニヤけ過ぎ、おえ。

「一也の机にもサプライズ仕掛けてるのー!」
「それ言ってもいいの」
「あっ!嘘!一也の机に何かがあるの!」

 まあ、俺も心優しく御幸の彼女のサプライズ計画に協力してやったし、無事に計画成功したことに安心したのか嬉しかったのか気づいた時には口角がゆっくりと上がっていたのだった。


  #裏側


「サプライズ大成功したよー!倉持くんのお陰だよー!本当にありがとう!大好きだよー!」
「おーおー、それは御幸に存分に言ってやれよ」
「あ、もちろん友達としてだよー!」
「そうじゃなかったらやべーよ!!」

//161117 @倉持は優男