01


「なぁいおりん…!ノート見せてくれよ!」

「…はぁ?また寝てたんですか?」

「なー…いいだろ!?」

「だめです。今から私は仕事で授業抜けるんです。自習用にノートを持っていきたいので今回は……。」

「けち!」

「ケチとはなんですか!?寝ていた四葉さんがいけないんでしょう!」

……授業中また寝てしまった…。

あーもー!!
仕方ないだろ!?
眠い眠いって睡魔が俺に来るんだから……。

「あのー……四葉くん、よかったらこれ……。」

「ん?」

突っ伏してると後ろから声がした。

同じクラスの兆。
学級委員だった気がする。

差し出されていたのはノート。

「さっきの授業…だよね?」

「いいのか…!?やった!サンキュー!」

「いえいえ。本当に勉強しない人は寝ていた授業のノート見せてなんて言わないから…。四葉君は真面目だね!」

「…えっ……。」

今、こいつ…俺の事真面目って……!
そーちゃんに報告だ!!!!

ノートを借りて、寮に帰り
今日の事をそーちゃんに話した。

「そーちゃん聞いて!!!!」

「っ!!!びっくりした……。どうしたんだい?環くん。」

「俺……真面目だって……。寝てた授業のノート借りたら真面目だって!」

「えーっと……。一般的にはそれは……真面目ではないんじゃないかな?しかもまた授業中に寝たの?毎日毎日夜更かししてるからそういうこ……。」

「明日も寝たほうがいいかな!?」

「話聞いてた!?」

「……はぁあぁ……。とりあえずノート写そう……。」

「……環くんが…この時間に自分から勉強……!?」

そーちゃん、すっげえ驚いてた。

部屋に戻って、ぱらっとノートをめくると
以外にも委員長のノートの端っこには
猫の絵が描いてあった。

「ふっ…!授業中に落書きかよ……。」

その猫の隣に俺は王様プリンの絵をかいて
一言「あんがとね。」
と書いておいた。

次の日、ちゃんと返したよ。


「んー、兆。あんがとね。」

「いえ!読みにくい字でごめんね?」

「んなことねえよ。あんたもいおりんくらい見やすかった。」

「よかった……。普段は和泉くんのノート見せてもらってるの?」

「そー。同じ寮だから返しやすいし。」

「そっか………。」

「…どうした?顔暗くなったぞ?具合悪い?」

「だ、大丈夫!」

「また、貸してくれよな。ノート。今日も寝る予定だから。」

「へっ!?」

「んじゃ!」

そんなやり取りは何回も続いた。
どうやら、例の落書きに気づいたようで。

毎回ノートには落書きが増えていった。

『四葉くん!ここ重要ですよ!』

【この問題に出てくるプリンって王様プリン?】

『王様プリンだと、四葉くん的には嬉しいですね!』

【じゃあ今度のテストでこの問題が解けてたら、王様プリンちょうだい】

『え!?いいですよ…!』

【約束な?】

『解けなかったら?』

【んー……考えとく。あ、そうだ。兆ってさ、彼氏いんの?】

『いたらこんなに環くんと仲良くなれてないよ!』

【そっか、ならよかった。】

そんな感じ。

正直、落書きってより交換日記みたいなもん。

それが毎日、毎日すっごく楽しかった。

ずっと…ずっと…って
続けばいいなって……。

俺が毎日勉強するようになったもんだから
そーちゃんすんごく驚いてた。

「い、一織くん……環くんどうしちゃったの…!?」

「いえ…私にもさっぱり……。学校の座学はほぼ寝てるんですが……。あ!」

「ど、どうしたの?」

「……最近、クラスの委員長にノートを借りてます。私のノートはさっぱり見なくなりましたね……。少々腑に落ちませんが、四葉さんが勉強に目覚めたのはいい事ですね。」

「委員長って?」

「ええ、女子です。」

「え!?」

テストの日、約束の問題は解けなかった。

「残念だったね、四葉くん……。」

「王様プリンー……。」

「約束だから…。でも頑張ったからご褒美ね?」

兆はポケットから、プリン味の飴を出してきた。

「はいっ。お疲れ様!アイドルしながらだもん…四葉くんはすごいな……。」

「…いいのか!?」

「うん、どうぞ。」

「やった…!あんがとね!奏!」

「へっ…!?」

「ん?どうした?」

「今…名前……。」

「あ…ごめん、嫌だった?だったら言って?俺言ってくんなきゃわかんねえから。」

「ううん!嬉しい!すごく!」

「よかった…、じゃあさ、奏……。」

「はい……。」

「俺、アイドルじゃん?学校これない日あるじゃん?………俺だけの先生になってよ。」

「先生…?」

「そー。んで、今度のテストで満点取れたら……。俺の彼女になって?」

「え…!?でもアイドルって……。」

「嫌なの?俺の事嫌い?」

「そんなことはないです!」

「んじゃ、決まりな!……ちなみに今回のテスト、俺97点だったから、もうちょっとだな。」


これだったら
ずっとずっと…
あんたのそばにいれるよな?

だったら俺、王様プリンなくても

やってやんよ。


前へ次へ