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千と同棲し始めて何年になるのかな…?

木目調でまとめられ、ところどころにあるグリーンは
心を休めてくれるけど

今夜もあなたは、いなくて………。

1週間前の残り香も
そろそろ消えかかる

千がいない…

今日も

昨日も

「うぅっ……っ、千………。」

部屋の電気も付けずに
膝を抱えてうずくまる私を照らすのは

大きな満月

友達から聞いたことがあった。

満月にお願い事をすると
叶うよって

そんな迷信にも近い言葉は微塵も信じていなかったけれど

すがらずにはいられないくらいに寂しくて……。


「千に逢いたい……。」

「呼んだ?」

「え?」

玄関のドアが開く音に振り替えると

優しく微笑むあなたがいた

「うそ……夢?」

「だと思う?」

「だって……。ツアーじゃ……。」

「そうね。でも、寂しがってるんじゃないかって……それに、こんなイケメン、夢には出てこないでしょ。僕は僕しかいないんだから。」

「夢の中の千もかっこいいよ?」

「知っている。」

あぁ……千の香りだ……。

優しくて、おちつく千の……。

包み込まれた暖かさで
安心して涙が流れる。

「どうしてそんなに泣くのかな、奏は。」

「さ、寂しかったから……っ。」

「そう、ごめんね。じゃあもう恋人やめようか。」

「え……。」

「奏に寂しい想いをさせるのはもう嫌だから……。」

「そんな……、嫌よ!…もうわがまま言わないから…そばにおいてよ……っ。」

「わがまま、言ってほしいんだけど。僕としては……。」

「馬鹿っ!馬鹿ぁああ……っ!」

「折笠になる気はない?奏。」

「え……?」

「折笠奏。悪くないと思うんだけど。」

「千……?」

「違うよ。今は君だけの千斗だ。」

「千斗……。」

「僕これ以上はもう言えない。百ならちゃんと言えるんだろうけど。」

千がポケットから取り出したのは
小さな箱で、中には綺麗な指輪……。


本当ね、もっとちゃんと言ってよ。


「どう?おしゃれでしょ?奏にしか似合わないよ。シンデレラフィット。」

「…ふふっ、そうね、王子様。」

「恋人なんて関係は繋ぐものが少ないからね。僕の妻なら、奏も僕を縛れるでしょ。」

「物騒。」

「ごめん。」

「でもなんで今日……。」

「忘れたとか言わないだろうな……。今日は僕と奏が初めて出会った記念日だよ……。」

「あっ……。」

「…いいよ、そんなこともあったねくらいで……これからもっと記念日が増えていくんだから……。」

「うん……っ、千斗…好きよ……。」

「僕は愛しているけどね。」

月は恥ずかしそうに
雲に隠れて

細くなった光で私たちを照らしてくれた。


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