急すぎて私はまともな返事が出来なかった。
「あ、いま僕が嘘言ってると思ってるでしょ」
なんで分かるんだ。私は戸惑いながらも話し始める。
「だ、だって、出会ってまだ数日だし。そんな好きになって貰えるようなことした覚えないし…!」
「それはさ、気づかなくて当然っていうか、僕が一方的にときめいたっていうか…」
杉浦くんは恥ずかしそうにしながら返してきた。
「ときめいた…とは?」
「あのね、一番最初に僕たちが会ったフユちゃんの件あるでしょ?その依頼するときに、名前さんがすっごく綺麗な顔で笑ったから…。そのときに、素直に可愛いって思ったし、この人は多分とっても優しくて、友達思いな人なんだろうなって思ったんだ」
「そんな…」
「フユちゃんの件が解決して別れた後も、名前さんのことで頭いっぱいだったんだ。あの人は何が好きなんだろう、普段はどんな風に過ごしてるんだろう、好きなタイプはどんな人なのかな…とか色々」
恥ずかしがりながらも言葉を紡いでいく杉浦くんに、私はタジタジだった。確かに、これまで不可解だった杉浦くんの行動も、私に対して好意があったとするならば納得がいく。
「だから、九十九くんに言われて、名刺交換忘れたのに気づいたときは凄く焦ったよ!もしかしたら、もう会えないかもって。でも、また会えた。そのときにちょっと思っちゃったんだ、…運命かもって」
杉浦くんの言葉を受けて、私は恥ずかしさと嬉しさがない交ぜになっていた。そして今までの彼の言葉に感謝を込めながら私も返す。
「私も、最初に杉浦くんを見たとき、正直凄く格好いいなって思ったよ。突然声かけたのにちゃんと対応してくれるし、おまけに猫探しを手伝ってくれて、良い人だなって思った。私がピンチになったときも助けに来てくれたし、さっきも見ず知らずの女性のために走り回って、とっても強くて優しいって思った」
すると杉浦くんは意を決したように話し始める。
「改めていうけど、僕は名前さんのことが好き。…だから、よければ僕と、お付き合いしてください」
杉浦くんは私に対して手を差し出しながら頭を下げた。
「いいのかな?出会って数日だけど…」
「名前さんが、嫌でなければ」
杉浦くんはそのままの体勢で答える。
「私、年上だし、男勝りな所あるけど、それでも良いのなら…」
私は杉浦くんの手をとってこう言った。
「よろしくお願いします」
苗字名前32歳、この歳になって春が来ました。