wt長編『華ノ部隊』より夢主数人+鈴鳴支部。
名前変換無しです。


「あぢぃー…」
「…お、重い…で、すぅ」

ブーン、とユラユラ揺れる熱に居た堪れない程度の回される扇風機。その前には事の現状を物語るかのように体内の冷めない熱を持て余し汗をだらだらと滲ませる女が一人と、女より年下と見られる後輩男子が雪崩れ込まれたかの様に女に下敷きにされている光景が見れた。

女の下で苦しそうに呻く後輩男子。しかし、そんな事などお構いなしに女は顔面スレスレまで扇風機に顔を近づけ、微々たる微風で涼もうとする。右に曲がれば一緒に右へ。左に曲がれば一緒に左へ。下で手を千切れんばかりにバンバン強く床に叩きつけ限界を伝えようとする。強く手が床に打ち付けられる度、限界が通り過ぎていくも努力虚しくうるせぇーと更に体重を掛けてくる女には聞く耳がないらしい。もはややることがゲスである。若干後輩男子の目に涙が浮かんだ。

「別役うるせぇー、あぢぃーんだから黙れー」
「降りて!降りて下さい!暑いんだったら離れてください!」
「えぇー…そこにお前が居たんだから致し方ないでしょうよ」
「い、致し方無くないですよ!お、重い、お嬢重い、」
「重いとは何事だ」

その時丁度タイミングよくこんにちわー、と支部のリビングより奥に設置された畳が敷かれる居間まで響く低い複数の声達。その中には高いソプラノ音も混じっている。それは畳の上に倒れ込む二体の屍にも例外なく聞こえており、その知る声に後輩男子は泣き叫ぶように「助けてくださぁーい!」と必死に声を上げた。それも残りHPを使い果たすまで。ぐたりとして動く様子も見られない屍一号。だが、そんなこと上に乗り掛かるゲスにはやはりと言うか関係無いようで、それにまたうるせぇーとゲスが伸し掛かった、所でまたまたタイミングよく制止のお声がかかった。

ドタバタと慌てたような足音のあと、後輩男子にとってメシアの光が降り注ぐ。

「紅香ちゃんそろそろ止めてあげて!太一が酷いことになってる!!」
「紅香さんアイスありますよ、メロンとソーダどっちがいいですか?あ、こら乃々更に上に乗ろうとするな」
「うげっ」

叫び声に反応してかいつも通りにリビングに集結してか、恐らく前者。奥までやってきた、今しがた帰ったと見られる男二人に紅香と呼ばれたゲス基女は「ソーダ」と呟きながら賄賂を受け取り、渋々後輩男子、別役の上から漸く退いたのだった。

「大丈夫か?太一」
「し、死ぬかと思いました…」
「んな大袈裟な」
「俺にもアイス下さい…」
「メロンな」
「ソーダがいいです!」
「メロンしかないでー」

余った棒アイスを掲げる同級生の手元を見て、別役のソーダァァと言う細やかな抗議の声は紅香には届かず、問答無用で齧りつくのであった。


暑中見舞い申し上げます。
(後はリンゴレモンブドウパイナップル…)
(え!?なんで増えてんの!??)
(ただいまー)
(あ、ほら今達が帰ってきた。)


アイス補充に出掛けてた残りのメンバー。