私の気持ちも知らないクセに。












サボと別れていつもの様に家に帰れば、家の前にエースが立っていた。


エースは私の姿を見付けると、近付いてくる。








「なまえさ、おれの事何で避けてんだよ。おれなんかお前にしたか?今まで一緒に登校もしてたのに、何も言わずに先に行っちまってるし学校でもよそよそしい何なんだよ!!」







そう怒鳴りながら、肩を掴まれた。


エースが怒るのは分かるよ、だって、避けてるんだもん。




でも、どうして泣きそうになっているの?






肩を掴まれた痛みで少し顔を歪めながら、口を開く。








「今までみたいに一緒に登校してたらルナちゃんに悪いでしょ?変な誤解をして欲しくないのよ。エースだって初めて出来た彼女なんだから、幼馴染の私との時間よりルナちゃんとの時間をこれからは優先させるべきなの」








そう笑顔を顔に貼り付け、エースにバレない様に言って、肩に掛かる手を解こうと自分の手をエースの手に乗せる。







「あんなに可愛い子他に居ないんだし大切にしてあげなさいよ?それと、肩が痛いから離してくれる?」







すると、更にギリリ、と力を入れられエースは私に吠える。








「彼女が出来たからってなまえとの時間を割く必要もねぇだろ!?幼馴染と過ごす時間だっておれは大切にしたいんだよ!おれ達ずっと一緒だったのに彼女が出来たからって関係が壊れる程、脆くねぇだろ!!」






どうして、エースが、傷付いたって顔してそんな事言うの?


それに、どちらも大切にしたいってそんなの、欲張り過ぎる……!!







「私はエースの為じゃなくて彼女の事も考えてエースから離れたのよ!!彼女の気持ちももっと考えてあげたらどう?ただの幼馴染が毎朝彼氏と登校して来たら嫌だって分かるでしょ!?」






泣きそうになるのを必死に堪えながら、声を荒らげてそう吐き捨てる。









「……それなら、ルナと別れる。なまえと今まで通り一緒に過ごせねぇなら彼女なんか要らねぇよ」







なんで、どうしてそんな答えに行き着くの……!?








「はぁ……?バカじゃないの……!?」

「だから、ルナと別れりゃなまえとまた一緒に居られるんだろ?」








目の前でそんな事を言い放つエースの手を振り払い私は思わずエースの頬を叩いてしまった。


乾いた音が静かな住宅街に響き、叩かれた事に驚き目を大きく見開くエースがボヤけていく。







「……最低っ!!人の気持ちを踏み躙るのも大概にしてよっ……!!」







私は唖然としているエースを放って家へと駆け込む。


どうして、ルナちゃんと別れるなんて言うの……?




どうして、エースが、あんな風に言ったのか私には理解が出来なかった。












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