おんなじ光が満ちるふたり
噛み殺せなかった欠伸が思ったよりも大きくて、そばにいた透くんが小さく笑いが空気を伝わって届いた。
朝八時から十五分間、リビングでごろごろしながらテレビを見るのが最近の私の日課。なんとなく見始めた朝ドラにハマったのだ。
見ている間、あと三回欠伸が出たところで今日に話が終わり、続きが気になりながらテレビを消した。
それを見計らって透くんが声をかけてくる。
「今日は用事はありませんよね。二度寝しますか?」
「ううん。昨日いっぱい寝たから眠くはないの。欠伸は出たけど」
そう言いながらも私は起き上がらない。眠くはないけど、ドラマが始まる直前に起きたからパジャマのままで、うっかりすると寝てしまいそうだ。
透くんが選んだこの家は、とてもしっかりした造りで断熱性能に優れているし、カーテンもしっかりしめている。何より朝ドラを見る前に暖房を強めにつけた。それでも冬の朝は肌寒くて被っていたブランケットを口元まで上げて体を丸める。
眠くはないけど寒くて体が動かない。
そんな私の気持ちもお見通しのようで、家事の手を止めて加湿器をオンにした。
「湿度が十%上がると、体感温度が一度上がるんですよ」
「一度かあ」
「まあ気休めでもないよりましでしょう?」
「それもそうだね。ありがとう」
本当のところを言うとコタツがほしいけど、透くんの部屋にそんなもの似合わないから仕方がない。……いや、でも最近はおしゃれなコタツもあるし……。
「日に日に寒くなりますね。今日は雪も降るそうですし」
透くんの言葉を聞いて、コタツを検索していた手を止めた。それから腕を伸ばしてカーテンを開く。
空はくすんだ白色。そんな空に同化しているけど、ちらちら雪が降っていた。
「雪だ。……積もるかな」
「積もったら雪だるまでも作りますか?」
「かまくらがいいなあ」
「……そこまで雪が積もればいいですけど、そうしたら電車がストップして大変なことになりそうですね」
「透くんはちょっと現実的すぎるよ」
私が唇を尖らせると、透くん謝りながら苦笑した。それから家事を再開する。
遠くから、登校中の子供のはしゃぎ声が聞こえてくる。
穏やかな平日の朝の一幕。
この仕事じゃなかったら、この姿じゃなかったら、こんな平穏な時間はなかっただろう。そう考えると変な感じがする。あくせく働く人たちよりゆったりした時の中を生きているなんて。だけど、そのおかげで組織にいても大切なものを忘れずにいられる。
「平和だね」
私の呟きに、透くんがこちらを向いた気がした。
「ええ。こんな日もいいものですね」