ラブレター
「やっほー ちゃんです!今日はね、一成にたくさん伝えたいことがあるのでどんどん発表していきますね!ふふ、最後までお付き合いください!」
「……………」
「どーしようかなあー、何から伝えたらいいんだろう?んー… とりあえず一成の好きなところ100個言ってこうかな!んふふ、これ聞いて少しでも一成の自信とこれからに繋がっていければ幸いです!」
「何いってんだか… 」
「まず、唇が超セクシー!!」
「一番初めに唇なんだ… 」
「あと、二重で可愛い目、鍛えられた身体もかっこいい!」
「ふ……」
「それからねえ、鍛えてるけどさわり心地が良くてちょっと大きめのお尻♡」
「ふっ、ははっ、おやじかよ、」
「あ、今もしかして笑ってる?」
「っ!」
「その笑ったときにくしゃってなるお顔、だーいすきよ!私にはたくさん見せてくれたけど、他の人にはあんまり見せないよねえ、絶対もうちょっと笑ったほうがいいよ?みんなその笑顔でイチコロなんだから!」
「…………」
「あ、ちょっと話逸れちゃった?えへへ、今何個目だかもわかんなくなっちゃったよ、ふふ…、」
「…………」
「ねえ一成、私のこのくだらない話にずーっと付き合ってくれてたよね、時々笑ってくれてさ、でも終わるまでずーっとちゃんと聞いてくれてるの。嬉しかったし大好きだったなあ……あ!今ももちろん大好きよ!」
「…………」
「うん、大好き。人生で一成に出逢えたことは私の1番の宝物。それだけでよかったのに、一成も私を好きになってくれて、たくさんデートして、毎日欠かさず愛情表現もしてくれて、本当に嬉しかったの。絶対に忘れたくない。」
「…………ほんとはね、一成がそれでもいい、ってプロポーズしてくれたの死ぬほど嬉しかったの。」
「!じゃ、なんで……」
「結婚、してみたかったな…当たり前に結婚して、子供ができて、いつか孫も見れて、おじいちゃんとおばあちゃんになっても手を繋いで一緒に歩くの。どこだっていいのよ、一成と一緒なら。…でも、そんな当たり前のことが私にはできないから、、、このプロポーズを受けちゃったら、未来永劫一成のことを縛り付ける気がしてさ、そんなの嫌だったの。やっぱさ、愛する人には幸せでいてほしいじゃん!」
「… のいない世界に、幸せなんて見いだせるわけ……」
「でも、本当にありがとう。プロポーズしてくれたおかげで、ちょっとだけこの世に未練がなくなったかな!ふふ、だから、深津さんの名字は他の子に譲ってあげる!どこの誰だかわかんないけど、感謝してほしいよまったく!」
「ふーー…そろそろ飽きてきた?長くなっちゃった、えへへ、ごめんね。言いたいこと全部伝えられたかなあ…うーん、、なんだろ、…愛してるよ〜!ふふ、本当に世界で1番愛してる。一成はたくさんの幸せに囲まれて、ずーっと長生きして、それで、もしまた生まれ変わったりして、私と逢えたら、そしたら…ぐす、……そのときは、っ…は、、なんて、ふふ、ワガママだね私…」
「はー、取り乱してごめんね!一成が可愛いってたくさん言ってくれた笑顔で締めくくりたいと思います!えー…ここまで見てくれてありがとう。残して先に死んでごめんね。一成、絶対に私のこと追っちゃ駄目よ?すっごく悲しんでると思うし、逆の立場だったら私も絶対に悲しい。でも一成は絶対に生きるの。私のこと忘れたっていい、生きてて欲しいの。いろんなことを体験して、観て、知って、いい人生だったなって寿命で全うするときに思ってて欲しい。すぐに来たら怒るからね?!約束だよ。じゃあね! ちゃんからのラブレターでした!」
約5分の動画の再生が終了した。画面の中で俺に話しかけ続けた はもう話すことも会うことも抱きしめることもできない。勝手に守れない約束を取り付けて文句も言えないような遠いところに行ってしまうなんて、あまりにも勝手すぎる。さみしがり屋の はきっと今頃一人で泣いているだろうし、こちらにも言いたいことが山ほどあるし、忘れないうちに急がねば。指輪はズボンのポケットに入れたし、大丈夫。今度こそ断られても絶対に結婚する。そう固く決意して、勢いよく足場を蹴飛ばした。