私が小説家を目指すようになったきっかけは小学3年生の夏休み課題にあった小説コンクールで入賞したこと。事故後両親、特に母は外で遊ばせることに抵抗があり私も外で積極的に遊ぶような子どもでもなかったため本をよく読んでもらったり買い与えてもらっていた。だから元々本は好きだった。
 初めて書いた物語を評価してもらえた幸福感で勉強をするようになりいつしかこの道に居た。書くことは全く苦ではないし学生が終わる頃にはそれで食っていけるほどの稼ぎもあった。だが人間の欲は強いもので、書いても書いても満足のいくものは書けなくなっていっていた。

「完成して誰かが好評しても自分では満足いかずでスランプに入ってたんです。」

「それは抜け出せた?」

「はい」

 スランプに入り気分転換に外に出た時に周りを見れば人ばかりで物語がそこに溢れている様な感覚に陥っていた。今まで自分が書く物はファンタジーの一種で健康な五体満足な自分だったらあれをしたい、これをしたいという夢物語だった。でも外には何かが欠落した人たちも多くそういう生身の夢じゃない、空想で作り上げた人たち以外の物語も書きたいと思うようになった。

C眩しいライト
(小説家になったきっかけ)
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