「遊馬さんは決まりましたか?」

「はい。荒牧さんは?」

 数歩進んだ後腕を掴まれお食事に誘われた。そのまま近くにあったイタリアンレストランに入り今この状況。オーダーも済み、シャンパンが運ばれた。見た目的にはそれほど変わらなさそうな年齢で兄様と同じくらいだろうかと推測しながらシャンパンを口にした。

「失礼ですが遊馬さんはYumaさんですか?」

「はい、そうですね。」

「…どうしてもわからないシーンがあるんです。そこのシーンのことを教えて下さいませんか、さっきのお詫びとして」

「はい?」

 そう言って荒牧さんは原作本を取り出しわからないと言っているシーンであろうページを開いて見せてくれた。そのページは何度も読んだであろう形跡がきっちりと付いていた。だけどお詫びがそんな安いことでいいのだろうかと思う。ここへ連れられたときは食事代でも請求されものだとばかり思っていたし。

「このシーンなんですが……」

 食事が運ばれて来るまでの数分間そのシーンと前後のページを見比べながら制作当時の話も織り交ぜながら言葉を交わした。こんな一つのシーンまで熱心に研究して下さる想いに頭が上がらない思いだった。

「随分お綺麗に召し上がられるんですね。ご両親の躾ですか?」

「そうですね。そう言う遊馬さんも綺麗ですね。」

「ありがとうございます。マナーには厳しい家ですから。」


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