朝に隠して



まどろみの中で、頬に温もりを感じたような気がして名前は瞼を上げると、亮介の鎖骨が視界に映る。
ああ、そうか…と彼女が昨夜の事をぼんやり思い返していたら、笑みを浮かべていた彼の口がゆっくりと開く。

「おはよ」
「ん…」

彼の向こう側に見えるカーテンの隙間から、光が差し込んでいる。
その眩しさに彼女は、先ほどまでの状態に戻るかのように目を閉じた。

「…二度寝する気?」

不服そうな彼の声。
だが亮介の暖かさに包まれるとどうも眠気が収まらなくて、名前はイヤイヤと駄々をこねる子供のように彼の胸に額を押し付ける。

「休みの日くらい心ゆくまで寝たい」
「俺は休みの日くらいお前と過ごしたいんだけど?」

その言葉に目を開けると、亮介が愛おしそうな表情で見つめてくるものだから、名前は思わず胸の奥がきゅっと熱くなった。

「…もー、断れないってわかってるクセに…亮介って本当ずるいよね」
「ふぅん、そういうこと言うんだ?」

名前が口を尖らせて抗議すると、亮介は意地悪く笑って彼女を組み敷き、被っていた布団へ潜り込む。

「じゃ、名前は寝てて良いよ。俺は俺で楽しむから」
「な、なに…んっ、ひゃ!」

彼女が一番最初に感じたのは脇の下を指が這うような感覚。
そして触れるか触れないかというくらいのソフトタッチで、体のあちこちを撫でられる。
名前が体の方へ視線をやっても、こんもりと膨れ上がった布団があるだけで、彼が次にどこを触るかわからず対処しきれない。

「やっ…やだ、あふっ…んん、くすぐっ、あっ!」

愛撫にも似た彼の攻めに耐えられず、止めようと亮介の肩を掴んだその瞬間、熱く濡れたなにかが胸に柔らかく触れて、名前は咄嗟に声を上げた。

「ごめんなさい許してください起きます!!」
「そ?ざーんねん」

そう言いながら亮介が起き上がり、前髪を掻き上げた。
布団は彼の背中を伝って足元へずり落ちて、二人の体が完全に露わになる。
だが彼女は起き上がることができなかった。なぜなら亮介が腰の辺りをまたぐように膝で立っていたからだ。

「…あ、あの…そこにいられると起きれないんだけど」
「なーんか俺も、もうちょっと名前と寝たくなっちゃった」

この場合の”寝る”の意味が本来のものとは違うことに気づいて、名前は顔が熱くなるのを感じた。
その反応ににやりと笑った亮介が、彼女の唇を指先で撫でて囁くように言う。

「ホラ…目、閉じなよ」