「大変だ!轟くん!苗字くんが見当たらない!」
「えっ!?どうしよう…私さっき話したばっかなのに…」
「さっきならそんな遠くに行ってないかもしれない!」

この人混みに飲まれて、はぐれてしまったのか辺りを見回しても見当たらない。
どこか遠くへ行ってしまったのだろうか…
飯田と緑谷、麗日はどうしようどうしようと慌てふためいている。
いつの間に離れたんだ…?

「轟さん、苗字さんを探しましょう。」

バッとこちらを振り向く八百万。
それに頷くと、トンと俺の背中を押した。

「探しに行くのは轟さんだけですわ。」
「…は?」
「わたくし達は、ここで待ってます。」

こういう場合は、手分けして探した方がいいんじゃないのか?そう言おうとするも、八百万の瞳が言わせない。

「全く…。チラチラ横目で見るくらいなら傍に居て差し上げたらいいものを…、苗字さんを探し出して連れてくるまで、こちらには帰って来なくて結構です!」

腰に手を当て、ふんぞり返る八百万。
あぁ、バレてたのか。

「さあ、行って下さいまし!」

そしてもう一度背中を押される。
それに弾かれるようにして、皆から離れる俺は、振り向くこと無く人混みを掻き分けた。

なんか、勇気出たよ。ありがとな。