触れてふわふわ

今日は範太とショッピングセンターでデート。
ご飯も食べてお腹いっぱいになったし、私の買い物に付き合ってもらうことに。

最上階の雑貨屋へ向かう途中、広いゲームセンターの横を通る。
チカチカと目まぐるしく光るゲームの画面や、大きな筐体から聞こえるコインの音。
気を取られていると、クレーンゲームの大きなガラスの向こうで座るウサギのぬいぐるみと目が合った。

「……ウサちゃん」
「ん?」

反射的に声に出してしまっていて、なんでもない!と慌てて首を振った。
だけどやっぱり気になって、少しだけ振り返りながら彼の隣を歩く。
白くてフワフワでかわいいなあ、なんて考えているうちに向かいの雑貨屋へ到着。
所狭しと商品が並ぶ店内へ入りキョロキョロしていると、楽しそうに範太が歯を見せて笑った。

「何をお探しですか、お嬢さん。」

自分よりずっと背の高い彼が、少しかがんで目線を合わせてくれる。

「えっとね、日記帳と、ポーチと…あ、今度姪っ子が誕生日だからそのプレゼントも見たいな」
「ん、じゃあゆっくり見て回るか」

そう言って範太は私のペースに合わせてくれる。
姪っ子にはお風呂で遊ぶおもちゃを選び、自分の欲しいものも見つけ、会計へ向かう。
時間帯のせいなのか、レジには少し列ができていた。

「わり、ちょっとトイレ行ってくるわ。会計終わったら外の椅子んとこ座って待ってて」

列に並ぶ私に、ゴメン…と片手を上げて言う範太。
うん、と返事をして店から出ていく彼の背中を見送る。

やがて順番になって、会計レジへ進む。
姪っ子のプレゼントはラッピングをしてもらったので少し時間がかかってしまい、もしかして彼はもう待ってるかな、と思いながら店の外へ出て辺りを見回す。
けれどそこに範太の姿はなくて、言われた通り椅子に座って彼を待つ。

ふと、雑貨屋に入る前に見たぬいぐるみのことを思い出して、ゲームセンターの方へ向かう。
白いウサギがいたはずの大きなクレーンゲームに、ぴたりと手のひらをつけて覗き込む。
でもそこには、ピンクのウサギが毛繕いをして座っているだけだった。

「いなくなっちゃった…」

雑貨屋で買い物をしてる間に誰かが取ったのだろう、白いウサギはガラスケースの奥にもいない。
少し残念だな、と短くため息をついた…その時、左の肩をポンポンと叩かれて心臓が跳ねる。
範太かと思って反射的に振り向くと、真っ白い綿飴のような物体が目の前に広がった。

「名前チャン、ぎゅーってしてー」

そして突然、左右に動いて妙な声で喋りだした。
よく見ると大きな垂れ耳が揺れて、フワフワの毛に埋もれた丸い目が見え隠れしている。

「ウサちゃん!」

私の声がワントーン上がって、満足そうにウサギの後ろから範太がひょっこりを顔を出す。

「欲しかったんだろ?」

ほい、とウサちゃんを渡されて、思わずぎゅうっと抱きしめた。

「うん!範太、ありがとう!」

彼の、こういう優しいところにキュンとしてしまう。
いつも私のことを思ってくれて、見ていてくれる。
やっぱり範太が好きだなあって、再確認するように彼の笑顔を見つめた。