※LB5オリュンポスクリアマスター推奨
Dグレ世界から異なる次元を超えてやって来たノアが正体を隠してカルデアに入り、ぐだ子やマシュ達と一緒に人理修復したり、空想樹を伐採したりする。その過程でぐだ子達に絆されたりするが、元がノアなので世界の終焉を望んでいるため、途中でさよならバイバイすることは決定事項。
ロードから鍵を預かっているので、いつでもAKUMAを呼び出すことが可能。けれど呼べば自分の正体もバレるから、呼ぶ時は自分が裏切る時だと決めている。ただ仲間同士の絆とかそういうのには弱いノア様。
↓以下書きたいところだけ
「人類の新生? すべての人間は生まれ変わる?」
キリシュタリアが話している内容に驚くが、誰もが“神”に等しい存在になるという言葉に名前は誰にも気づかれないように密やかに嗤った。
嗚呼、嗚呼! それに近しい存在が今まさに自分達の目の前に居るだなんて、キリシュタリアも、藤丸立香も、マシュも、『異星の神』の使徒も誰も知らないだろう!
「――名前も、私の計画には賛同できないか?」
「ん?」
不意に話しかけられ、一時思考を中断させる。勿論会話は聞いていた為、返答には困らない。困らないが、だからこそ自分は敢えて困ったような表情を浮かべて見せた。
「わたしは……うん、汎人類史の人々が消えたままなのは哀しいし、その世界を取り戻す為に今まで戦ってきた。でもね、貴方の理想も理解はできるよ」
「なら、」
「理解できるだけ。人を“神”と同等の存在にするなんて、わたしは賛同できない」
むしろそんな世界、反吐が出る。胸中で毒を吐きながらも、口でははっきりと否定の言葉を口にした名前に、キリシュタリアはそれ以上何かを問うことはしなかった。
――そんな時だった。空想樹が真っ赤に染まり、枝から、内部から燃え広がっていく。皆がその光景に注目し、驚愕する中、一人の男の声が鮮明に聞こえた。
「ああ、だから内部から燃やしたんだよ」
「キリシュ、後ろ……!」
立香が声を上げると同時に、キリシュタリアは背後から迫る刃を退けた。完全に不意打ちの攻撃だったはずなのに、擦り傷すら負わずに防がれたことは男にも予想外だったのだろう。
「マジかよ!? 後ろに目でもついてんのか、ヴォーダイム!?」
「君こそ。もっと慎重に行動すると思っていたよベリル」
キリシュタリアを襲った人物は、彼と同じAチームのメンバーであり、クリプターの一人でもあるベリル・ガットその人だった。思わぬ伏兵に名前はマシュの後ろで目を細め、彼の思惑をそのまま聞く姿勢を保つ。――だが、それよりも先にソラから光の塊が降ってきた。高密度、高エネルギー、高熱量のそれは正しく光の速度で我々の頭上へと降り注がんと勢いを増す。
――ロンゴミニアドの光。その威力を、我々はよく知っていた。
ホームズも回らない頭で必死に退避の策を考えるが、ろくな事を思いつかない。そんな周りを見てやれやれと名前が目を閉じた瞬間、
「――いや。まだだ……!」
初めて、この男の熱の籠もった声を聞いた気がした。それほど長い付き合いでもないし、何なら敵同士の関係だ。
嗚呼、でも、彼が織りなす壮大で繊細なこの魔術は、とても綺麗に思えた。
「そうはいかない……! 彼らの旅を、ここで終わらせる訳には……!」
立香達との戦いで彼の残っている魔力もそう多くはない筈なのに、決死の思いで光を受け止めるキリシュタリア。
「――そうかい。じゃあ、やっぱり死ぬのはアンタだ。今度こそ、全身スキだらけだしな?」
その科白が聴こえてくるよりも前に、名前の身体は動いた。マシュの盾の後ろでスイ、と右手を上げて左から右へ滑らせる。それと同時にガキン!と何かが弾かれた音が響いた。
「なん、っだよコレ!」
ソラから降る光の槍は霧散し、キリシュタリアの魔術も粒子となって消え去る。そこでやっと立香達も、そしてキリシュタリアをまたも襲おうとしたベリルも今起きている状況を把握することができた。
キリシュタリアを中心に見えない壁が現れ、ベリルが持つ剣を防いだのだ。それはベリルが何度剣を振り下ろそうとも傷ひとつつかない。一体誰がと思ったその時だった。
「ふふっ、あはははっ! やぁーっとお前の顔が崩れたねぇ、ベリル・ガット」
可憐に笑う声はマシュの後ろから、立香から言わせてみれば自分の隣から聞こえてきた。声の持ち主はくすくすと可笑しそうに笑いながら、カツンと足音をわざと響かせてマシュの前へ歩み出る。
その姿は、立香やマシュが見慣れたものとは違っていた。肌は雪のように白かったのに、今や褐色に染まり、瞳は眩い金色へ、そして額には七つの聖痕が刻まれている。あまりの変わりようにキリシュタリアですら現実を呑み込めずにいた。
「ん〜〜〜っ! 久しぶりにこの姿に戻ったから、何だか体がスッキリするなぁ」
「名前、さん……?」
「ん? なぁに、マシュ?」
戸惑うように名を呼ぶマシュに、名前はいつも通りふわふわとした表情で首を傾げた。けれどマシュには分かる。彼女が先程まで存在していた自分達のよく知る名字名前では無くなったと。
「本当はさぁ、もうちょっと黙っとくつもりだったんだぁ。でもだぁめ、これは見過ごせないよぉ」
のんびりと、そして甘い口調。普段の名前はもう少しサバサバしていて、こんな話し方ではなかった。
「人間なんて大嫌いだし、神なんてもってのほかだけどぉ。キリシュタリアの思想はちょぉっとだけ面白かったからぁ、楽しませてくれたお礼をしなきゃと思って」
「だれ、誰ですか……貴女は…!」
「うん? あぁ、自己紹介してなかったねぇ」
震えるマシュの声に促され、名前はにっこりとあまぁく微笑んだ。
「ハジメマシテ! わたしは名字名前。『心』を司る、世界を終焉へと導くノアの一族の一人で〜す!」