ポートマフィア最高幹部の男の子が、MHA世界にトリップしちゃうお話。首領の命令であれば人を殺すことも躊躇わないが、それは自分の一番大切なもの(=太宰)を隠すため。異能力は“悪魔の手毬唄”と言い、鉄分を操る能力。
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自分の欲を隠すことは、武器であり、そしてそれが自分の一番大切なものを守るための手段なのだと気づいた。だから僕は自分の心の奥底に“それ”を沈め、鍵をして鎖をかけた。決して誰にも開けられないように。
だから、ね。大丈夫だよ。僕が絶対に守るから。
「真逆君が来るとは……。ねぇ、名前」
「僕も、貴方を殺せる日が来るなんて思いもしませんでしたよ。…ねぇ、太宰さん」
黒いコートに身を包み、フードを外す。月光に照らされた髪はキラキラと銀色に輝いていた。太宰はその光景を、目を細めながら眺める。
「名前が最高幹部にまで上り詰めるなんて、あの頃は思いもしなかったよ。君は酷く泣き虫だったから」
「そうですね。貴方の指導が厳しくて、何度も泣いてましたね」
「だと言うのに、芥川君は君が泣いている姿を見た事が無いと云う。これには私も吃驚したよ」
「泣き虫はとうの昔に卒業しましたから」
サァ…と風が二人の間を吹き抜ける。今から殺されるというのに、太宰の表情は穏やかだった。雲から顔を出した満月が二人を照らし、そこで漸く互いの顔が見えた。
「……真逆、笑っているとはね。そんなに私が憎かった?」
「それは此方の台詞ですよ。真逆笑っているだなんて。…まだ、死にたいんですか?」
「毎日色んな自殺方法を試してみるくらいには、死にたいよ。だから凄く嬉しいんだ。私が手塩にかけて育てた名前が、私を殺しに来たなんて」
ごめんなさい。僕は咄嗟に言いかけたそれをグッと飲み込んで、片手を上げる。僕が異能力を使ういつもの動作を見ても、太宰さんは笑みを崩さなかった。
――嗚呼、
「ごめんなさい」
今度は我慢できなかった。太宰さんの笑みがやっと消えたことが嬉しくなったが、僕ももう笑っていなかった。くしゃりと眉を八の字にして、堪えきれなかった涙がぽろぽろと頬を伝い、地面を濡らす。
「名前……?」
「ずっと、貴方の側に居たかった。ずっと貴方の隣を歩いて居たかった。けれど貴方はもう探偵社で、僕の敵になってしまった」
一人光の方へ進む貴方を、僕は追いかけられなかった。
「貴方が居なくなって、僕はまず泣く事を止めた。首領の命令にだけ忠実に聞く部下となり、最高幹部にまで上り詰めた」
「一寸待って、それってどう言う――」
「首領が望めば何人だって殺した。――あんなに泣きながらイヤイヤ云っていたのにね」
月明かりに照らされた彼の表情は、涙に濡れながらもとても綺麗に微笑んでいた。太宰は少し嫌な予感がして歩み寄ろうとするが、どうにも足が動かない。
「自分の欲を隠すのが上手くなっちゃいました。貴方を、騙し通せてしまうくらいには」
「名前!」
「けれど、嗚呼、こうして守れるからいいかな」
名前の纏うオーラが銀色に変化する。駄目だと本能的に察した太宰はやっと一歩を踏み出せた。
「待つんだ、名前!」
「僕の一番大切なものが守れたから、未練なんて無いよ」
ビルの柵を蹴り、身体が宙に投げられる。此方に向かって手を伸ばしてくるこの世で一番大切な人に、僕は最期の笑顔を送った。
「貴方が生きているこの世界が、僕は大好きだから」
だからどうか、生きて。
「名前ーーーー!!!」
だってこの世はこんなにも、美しいのだから。
**
死んだはずなのに病院で目覚めたら、そこは“個性”という力を持つ人間で溢れた世界。ここでなら自分の異能力も“個性”として受け入れられて、憧れていたヒーローになれるかと思い、なぜか国籍等はそのままだった為雄英に編入することに。唯一校長先生と相澤先生だけ正体を知っており、相澤先生からの監視を受けながら高校生活を送っている。
――ねえ、知らなかったでしょう? 太宰さん。
僕は、貴方のヒーローになりたかったんです。
「鉄分って、鉄を操るんだよね?」
「そうだよ。鉄分を少しでも含んでる物があれば、僕は操れる」
「すごい! それじゃあ救助にはもってこいだね!」
「きゅう……じょ?」
「だって、瓦礫の下に埋まっちゃった人をすぐに助けられる! 瓦礫には鉄分も含まれているやつもあるでしょ?」
「………そんなこと、考えた事も無かった」
緑谷に自分の能力の色んな使い道を教えてもらったり。
「何が目的かは知らないけど……、今、何て?」
「お前を殺してやるって言ってんだよ…。聞こえなかったか? 餓鬼」
「ふふ、ごめん。まさかこの僕にそんなことを云ってくる人が居るだなんて思わなかったから」
「あ?(なんだこいつ……、雰囲気が違う…)」
「大丈夫、安心して? 僕は首領の命令以外で人は殺さないから」
「首領? お前、何者――」
「でも、皆が楽しみにしていた合宿を台無しにした代償は、払ってもらうね」
林間合宿を台無しにした敵連合に腹を立て、自分を殺そうとしてきた荼毘をボッコボコの半殺しにしたり。
「君は、ヒーロー向いてないよ」
「そんなこと、アンタに云われなくても知ってるよ」
「じゃあ何故そっち側に居るんだ?」
「例え仮初めでも、“あの人”と同じ場所に立ちたかったから」
「それももう充分楽しんだんじゃないのかい? ほら、こっちへおいで。君は“こちら側”だ」
「……ふ、ふふ、ふふふふ。ねぇおじさん。僕がお前に着いて行く訳無いでしょう? 僕が忠誠を、絶対服従を誓ったのはあのお方だけなんだから」
神野では敵ボスと対立してやっぱりボッコボコの(以下略)。
なんやかんやBSD側もトリップしてきて、オリジナルストーリーも混ぜれたらいいな。