注意!

えふGOの炎上都市のねたばれ、主人公達が来る前にあった出来事の捏造が含まれます。
アサシンがハサン先生ではありません。
名前変換が例の如く無い。
以上の点が大丈夫な方どうぞ
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遠い日の夢を見た。


−−だった時の夢だ。


懐かしい。


姿が朧気であれが−なのか最早俺には分からないけれど、心が酷く穏やかだ。ずっとこの夢を見ていたいけれど、もう目覚めなくては…


俺はその夢に背を向け歩き出す。−が私の背中を寂しげに眺めていた事に気付かず。



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「−−ぃ−−−ぉ−−−−おい、起きろ。」


ゴリっと頭に硬い何かが押し付けられる。僅かに走る痛みに少しばかり顔を歪めながらフードの隙間からちらりと相手を見やる。


「起きたか?」

覚めるような空色の装飾に、目を惹く紅色の瞳がこちらをのぞき込んでいる。相手の片手には自身の頭を叩いたであろう武器が見える。少しぼんやりとした思考のまま立ち上がる。相手は呆れを色濃く残した表情を浮かべたままである。


「まだ寝ぼけてんのか?」


「−−いや、起きたよ。悪かったなキャスター。」


相手−キャスターの訝しげな視線を遮るように口元を覆うようにして巻いてあるマフラーを目元まで引き上げる。


「それで?まだ夜は開けていないが、俺を起こしたということはなにかあったのか?」


「あぁ、近くにサーヴァントの気配をひとつ見つけた。泥に汚染されてるかはまだわからんが確認するくらいならどーってことねぇだろ。」


「…今のところまだ見つけていないのはアーチャーとライダー、バーサーカーか…


俺はその気配がバーサーカーじゃないのを祈りながら見てくればいいんだな?」


あぁ、と頷くキャスターに軽くため息を吐く。自身のクラス−アサシンではバーサーカー所かアーチャー相手でもうまく立ち回れるかどうか…


心の片隅でライダーである事を願いながらキャスターの案内の元、瓦礫と火炎に塗れた街を歩き出した。



−*−



隠れ家として使っていた家からかなり離れた場所に位置した1軒の家をキャスターが指さす。


「彼処か…」


相手のサーヴァントは隠す気が無いのか気配がダダ漏れである。対してこちらはキャスターの魔術と自身のクラススキルである気配遮断を駆使しながら近付いている。


「ここまで隠す気がないと来ると、バーサーカーの線が強そうだな…」


「いけそうか?」


「行くしかないだろ…」


形ばかりの確認に諦めを滲ませた声音で答える。


場所は普通の一軒家。今回の聖杯戦争に召喚されたバーサーカーの武器と自身の武器を考えれば地の利はこちらにある。


1度目を閉じ深く息を吸い込む。


「よし、行ってくる。」


再び開いた目には確固たる覚悟の光を灯し、歩き出す。


不明のサーヴァントが存在している家のドアを音が鳴らない様に細心の注意を払い開く。サーヴァントの気配に変化はない。最早住む住人がいない家屋に土足もクソも無いだろうと靴は脱がずに上がる。


長くも短くもない廊下を進み、おそらくリビングへと繋がるドアに姿勢を低くしながら近づく。


自身の心音は酷く静かである。


部屋の中のサーヴァントの気配は以前変わらず、俺の侵入には気付かれていないことを知る。


ならば、と片手に相棒の短刀を構え離脱と先制攻撃どちらも可能な体制を作り、勢いよくドアを開く。


「やれやれ、随分なお客さんだな…」


「…」


ドアを開いた先には見慣れた弓を使わないアーチャーが前髪を下ろした姿で居た。泥に汚染されているのならば即刻離脱したかったが相手の姿を視界に入れた瞬間、泥の汚染や離脱云云の事は頭から抜け落ちた。


「…なにやってるんだ?」


「?」


自身の問にきょとんと首を傾げるアーチャーに、俺は遠慮なくため息を吐く。こんな非常時にこんな事をしているのだ。問やため息の一つや二つ吐いても構わないだろう。そう自身の中で完結させ、問題点を指摘するために再び口を開いた。


「アーチャー、俺は、何故、今、このタイミングで、空家で、料理を、しているのか聞いているんだ。」


「そこに材料があったから、だろうか?」


こてん、と対面式のキッチンの中で首を傾げるアーチャーガスや水道はどこから来たのかやそもそも、食材は腐っていなかったのかなど疑問は多々あるが、常軌を逸した様な思考回路の壊れ具合に泥に汚染されてしまった可能性を一人静かに考えた。


「取り敢えずお前、今どんな状況か理解してるか?」


「?アサシンが私の料理を食べに来たのでは?」


「そんなわけないだろ?!」


「では、アサシンが私に会いに来たのか…それは照れてしまうな…」


褐色の肌にうっすらと赤が差す。アーチャーのその様子に軽いめまいを覚える。


「もうすぐ出来る座って待っていてくれ。」


いそいそと料理の続きを作り始めるアーチャーのインパクトですっかり視界から外れていたリビングに目を向けてからそっと視線をそらす。


この弓兵はもうダメだ。


そう結論付け直ちにこの場を離脱しキャスターに報告に行こうと踵を返す。と


「どこに行くつもりだ、アサシン?」


酷く底冷えしたアーチャーの声音と共に自身の左頬を何かが勢いよく掠め、向かいの壁に突き刺さる。良く見るとどろりと壁に突き刺さった物体−包丁の刃を赤黒い液体が伝う。


「もう直ぐ出来るんだ、大人しく座っていたまえ…


君の好きなものばかり作ったんだ。きっと、君も気に入るはずだ…」


先程の声音とは一変し、甘やかな声音に背筋を言いようの無い悪寒が走る。この場に1人でいるのは絶対に嫌だ。何が何でも安全圏に居るキャスターを引きずり込みたい。


「あ、アーチャー!」


「なんだ?手を洗いたいのなら私の隣で洗うといい。君は手洗いが苦手だろう?私がしっかりと手伝ってやろう。」


「近くにキャスターが、」


自身の言葉を遮るようにして何か硬い塊が壁に打ち付けられる。その塊は水分を多く含んでいたのか、べちゃりと水滴を辺りに撒き散らしながら壁と廊下を派手に汚す。


「すまない、アサシン…良く聞こえなかった…もう一度言ってくれないか?」


問いかける声音は酷く優しいのにアーチャーの望まぬ答えを口にしたら生命はないという理不尽さに泣いてしまいそうになる。さて、どう答えるべきか…もうここにキャスターを呼ぶことが叶わないならば、せめてキャスターには遠くに逃げてもらわなくては…


喉元に感じる冷たさが自身の冷や汗なのか、別のなにかなのか思考している余裕は残念なことに今のアサシンにはなかった。



−後悔は嗚咽に消える。−