五条兄主

明日方舟の設定を一部借りています。

—明日方舟を知らない人に雑な説明
未知の感染病がはびこる若干世紀末な世界で、主人公たちがその病にかかり居場所を奪われた者たちと戦う世界。
主人公はその世界のラテラーノ(天使族)の出身。職業はラテラーノ公証人役場の法廷執行人—

突然始まって突然終わります。申し訳ありませんが、コードネームは固定とさせて頂きます。一瞬しか出てこない上に、これから先呼ばれることもない(予定)のですので、ご了承ください。
独自の解釈あり。
合わない、無理だと思ったらプラウザバックをお願いします。

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—基本情報
【コードネーム】エンフォーサー
【性別】男
【戦闘経験】15年
【出身地】ラテラーノ
【誕生日】11月11日
【種族】サンクタ
【身長】173cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、———者に認定。

能力測定
【物理強度】標準【戦場起動】標準
【生理的耐久】優秀【戦術立案】優秀
【戦闘技術】優秀【アーツ適正】優秀

個人履歴
————と同じくラテラーノ公民であり、ラテラーノ公証人役場法定執行人。
現在はロドスとの契約により、ラテラーノ公民——者に関連する任務を執行している。ことラテラーノ公民——者に関しては現在彼以上の権限を持ちえる人物は、ラテラーノ公証人役場には存在しない。

健康診断
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——進行度:現在も緩やかに進行している。
「彼は————のか?異常だ。【その】立場からくるものなのか、あるいは別の……」———医療オペレーター———の記述—


ぱちりと何かのスイッチが入れ替わるかの様に、視界がクリアになる。
私は知らず知らずのうちに詰めていた息を軽く吐き出す。
先ほどまで私は、【此処】ではないどこかで【生きていた】私の記憶の【処理】と、今世の私が得ていた情報の【処理】を行っていた。
脳のリソースの大部分を記憶の処理に充てていたせいか、だいぶ、いやかなり感受性が薄く自発的に何か行動することも、何を考えているのかもわからない不気味な子どもだと周りから思われてしまったようだ。
私はそこまで思案し溜息を一つは吐き、ごろりとい草の香りが僅かにする畳に身を投げる。少しばかり薄汚れた天井と灯の灯っていない蛍光灯が視界を埋める。
さて、どうしたものか。
【今】私の居る家は【御三家】と呼ばれる由緒正しい家柄の【五条家】である。この五条家には、【相伝術式】と呼ばれる【術式】—【前】で言う【アーツ】のようなもの—か【六眼】と呼ばれる特殊な瞳を持った子どもでなくては価値がないとのことだ。
彼らは私が産まれた際にまず六眼でないこと落胆し、先日発覚した私の術式が相伝術式でないことを知り、さらに落胆したとのことだ。私としては発覚した術式が【前】のアーツと同じなため、喜ばしかったのだが彼らはそうではなかったようだ。
確かに【無限を現実に持ってくる】術式と比べれば、私のただ【切り刻む】だけの術式はぱっとしないものではあるだろう。が、何事も使いようだ。この術式も使いようにはいかようにも出来るのだがそれをわざわざ教えたところで、六眼と相伝術式こそ至高と思っている彼らにはなんの意味もなさないだろう。
現状五条家において何の価値もない私ではあるが、現当主の唯一の息子で相伝でないにしろ術式持ちということもあり、必要最低限の世話と教養の勉強は離れにて毎日行われている。
現当主の代で相伝持ちもあるいは六眼持ちの子が産まれなければ、その役割がそのまま私にスライドしてくるという事実に気分が沈む。
私はそんな沈んだ気持ちを振り払うように、仰向けに倒していた体の向きを障子側に変え、きれいに整えられた庭を眺める。
もうじき、寒い冬がやってくる。



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私が前を思い出しても私の生活に何か変化が起こるわけもなく、ただ時間が流れていく。母屋の人間は離れには必要最低限しか訪れないため、私が【それ】を認識したのはそれが産まれてから何年か経った後であった。


「……」


「……」


乱暴に部屋の障子が開かれ、膝の上で開いていた書物から視線を上げれば、新雪を思わせるような白い髪に、蒼穹を詰め込んだような蒼色の瞳が真反対の配色の私を映す。
……誰だ?御三家の離れに来れるような人間は、五条に連なる者しかありえないため、この子も浅からず五条に縁のある子なのだろう。
時間にして一分にも満たないであろう子どもとの見つめあいは、母屋から聞こえてくるあわただしい足音と、誰かを探す様な声によって終わりを迎えた。
目の前の子どもは音の方向に顔を向け、心底いやそうな顔をし私を押しのけるように私の私室(という名の五条家にて保管されている禁書等々保管されている書庫)へ入り込む。
私は何を言うでもなく、その行動を眺めていると白い子どもは一度こちらを振り返った。


「おい、ざこ。」


「?」


「おれが、ここにいるって言うなよ」


「……」


返事を返さない私に、もう話すことはないと言わんばかりに一度その子は鼻を鳴らし、書庫の影へと消えていった。
……あの子が誰かは知らないがだいぶ口が悪いな。
私は軽くため息を吐き、読みかけの書物へ視線を戻す。未だ母屋の方は騒がしいが、離れへ来る様子はないのでこの件は一旦放置することにした。



—*—



「あの……翼様」


此方の様子を伺うような声音に、今良いところなのにと思いながら視線を書物から上げる。
視線の先には、困り果てた表情を浮かべた私の世話係が立っていた。


「……何でしょうか?」


「翼様、あの、こちらに、悟様は来られていませんか?」


「悟……?」


「はい、あ、悟様は翼様の弟君でございます。」


初めて聞く名前にきょとんとした表情を浮かべれば、世話係がそういえばと教えてくれる。


「お名前をすら知らないのですから、翼様が悟様をご存じなわけありませんよね。」


嘲笑をにじませた笑みを浮かべた世話係は、言葉ばかりの謝罪を告げる。


「……用はそれだけですか?」


「えぇ。
あぁそうです。悟様は翼様と違って、六眼と無下限術式をお持ちの五条家の正当な後継者ですので、もしお見掛けしたらすぐにご連絡くださいね?」


暗に下手に隠し立てすれば、当主の座を狙ってその悟様を害そうとしているとみなされ、五条での立場を悪くすると告げてくる世話係を一瞥し、視線を書物へ戻す。
話は終わったと言わんばかりの態度に、世話係は鼻を鳴らし悟様の名を呼びながら、母屋の方へ戻っていった。
……悟様の容姿くらい聞くべきだったかな。今更ながらのことを思いながら、意識を書物へと沈めていった。



—*—



今日はこれくらいにするかと読んでいた書物を閉じ、軽く伸びをする。今日は珍しく来客があったなと思いながら、離れに無理を言って備え付けさせた台所に足を向ける。そういえば、午前中に来ていたあの子どもは今どこに……?台所へ向けていた足を一度とめ、方向を変える。いなければそれはそれでいいのだが……もしここにまだ残っていたら、母屋へ戻る様に説得でもするか。
ギシギシと板張りの床を鳴らしながら、部屋の中を捜索する。何部屋か見て回ったが特に子どもの姿は見当たらないので、自身の寝室を確認したら終わりにしようと思い、寝室の襖を開く。私の寝室は和室には不釣り合いなベッドが置かれており、―布団はどうにも体が痛くなってしまうので、これも無理を言って用意してもらった。―不自然に膨らんでいる。
まさかと思いながら、軽く布団をめくれば穏やかな寝息を立てている子どもが。この子、ずっと寝ていたのか……?多少困惑しながら、子どもの肩を優しくゆすり目覚めを促す。


「起きてください。夜、眠れなくなりますよ。」


「ん、むぅ……」


子どもはいやいやとむずがるように頭を振り、体を丸め起きる気配は全くない。
もう少し体格が良ければこの子を、抱えて母屋に向かうのだが今の体格ではそれもままならない。まぁ子どもの居場所はわかったのだからいったん放置して、夕餉を作ろう。万が一この子どもも食べることになったとして……


その後起きた子どもに作ったオムライスを食べさせたら、なぜか懐かれたり、その子どもが捜索されていた悟様だったりといろいろあったがそれはまた別の話である。