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ふるえる手で触れた肌の赤が網膜にこびりつく。それは曖昧な予感などではなく確信だった。まばたきの狭間に、ひきずりこまれるように堕ちていく。微熱に浮かされた脳が後戻りはできないのだ、とぼんやりと告げていた。
:
さよならを言ったら、今日とあしたの境目がわからなくなった。おはようを言ったら、この恋のおわりを見失った。ぼくらはこうやって、しらないふりをして何かを手放してきたのだ。名前を呼ばれるだけで救われた気がしていたのに。ねえ、どうか。
「置いていかないで」
そうやって手を引くのは卑怯よ。
だってね。
狡猾さを手にした幼いおとなはすべてを置き去りにしてきたのだ。青く閃めく17のあの夜に。
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