熱帯夜
再会から二日後の夜は、期待と熱に満ちていた。
ディナーを終え、ホテルのスイートに戻った二人は、軽く飲み直すはずが、グラスを傾けるたびに互いの瞳に宿る熱量が増していく。
彼が彼女の隣に腰を下ろすと、一瞬の沈黙が部屋を支配した。
アルコールが意識の境界線を曖昧にし、五年間という空白が溶けていく。
彼の手が、迷うことなく彼女の頬を包み込んだ。指先が顎を伝い、首筋へ。ゾクゾクとした感覚が彼女の肌を這い上がり、身を震わせる。
「…会いたかった」
彼の掠れた声が耳元をくすぐる。
その言葉は、もはや甘い囁きというより、抑えきれない渇望の吐露だった。
彼女の唇が彼の指先に触れると、彼はゆっくりと、しかし確実に彼女の身体を自分のものにしていくかのように、深く、熱いキスを落とした。
舌が絡み合い、息が詰まるほど激しい口づけは、五年間積み重ねてきた想いのすべてをぶつけ合うようだった。
キスが途切れると、彼は彼女の身体を優しくソファに押し倒した。
白いシャツのボタンが一つ、また一つと外されていく。
露出するデコルテに彼の視線が絡みつき、そのまま肌を撫でる指先が胸元へと滑り込んだ。
柔らかな曲線が露わになり、彼女の呼吸が浅くなる。
彼の手が意地悪く、しかし確実に彼女の身体を弄ぶ。
敏感な場所を掠めるように触れ、彼女の身体が跳ねるたびに、彼の唇には微かな笑みが浮かんだ。
首筋に吸いつき、耳たぶを甘噛みする。
彼女の嬌声が漏れるたびに、彼は満足げに喉を鳴らした。
「もっと、欲しいんだろう?」
挑発的な言葉が耳元で響き、彼女の身体は熱を帯びる。
しかし、肝心な場所にはなかなか手が届かない。
焦らされる快感が、彼女の理性を奪っていく。
「…っ、あなたも、同じでしょう?」
彼女の唇から、半ば無意識の反撃が漏れた。
抑えきれない欲求が彼女を突き動かす。
彼女の指が、彼のシャツの裾を掴み、一気に引き剥がした。
鍛え上げられた胸板が露わになり、彼の熱い鼓動が伝わってくる。
一際目立つ突起の先端を指の腹で弾くと、彼が不意打ちの快楽にびくりと震えるのが彼女の指先に伝わる。
それから下腹部までするりと指を滑らし、やがてベルトの端に引っかかる。
布を押し下げ隙間に指を捩じ込むと生々しい熱と硬質な感触に行き当たり、彼女自身の身体も熱を帯びるのを感じた。
彼女の指が、まるで遊び道具を見つけた子供のように、ゆっくりと、しかし確実に彼を弄び始める。
先端を軽く撫で上げれば、彼が小さく息を呑み、さらに奥へ、根本へと指を這わせると、彼の喉から抑えきれない低いうめき声が漏れた。
「…っ、お前…」
荒い息遣いで呟かれた彼の声は、すでに理性から解き放たれ、ただ快楽に喘いでいるようだった。
彼女は唇の端を吊り上げ、彼を挑発するように、さらに大胆に、そして意地悪く、彼の熱を帯びた欲望を掌握する。
彼女の指が、彼の先端を柔らかな曲線で何度も滑らせる。
その度に、彼の身体は快感に打ち震え、ソファに押し付けられた背中がわずかに浮き上がった。
彼の額には汗が滲み、呼吸はもはや規則性を失い、激しく波打つ。
瞳は熱に濁り、焦点が定まらない。
普段の冷静で揺るぎない彼の姿はそこにはなく、ただひたすら、彼女の手の中で快楽の波に抗えず、身を委ねている。
「これで…わかったでしょう?」
彼女は、彼が自分を焦らしたように、ゆっくりと、しかし確実に彼の限界を試す。
指を締め付け、緩めるたびに、彼の全身に電撃が走ったかのように筋肉が痙攣し、喉から切なげな喘ぎ声が漏れ続けた。
彼の腰が、無意識のうちに彼女の手の動きに合わせて動く。
彼の唇から、もはや意味をなさない言葉がこぼれ落ちる。
それは、降伏の言葉であり、さらなる快楽を求める叫びでもあった。
五年間という時間を埋めるかのように、二人の間には、言葉にならない感情と、肌と肌が触れ合う生々しい音だけが満ちていた。
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