「おーーい!ナマエーー!」
夜の談話室、ロンとハリーの魔法界のチェスを見守りながら本のページをめくった時にそれは起こった。談話室の空気が一気にピンク色に駆け抜けるのがわかる。声の主は、今目の前で何やってんだよ、フレッド…と呆れたように呟くロンの双子の兄。名前を呼ばれたのは、ふたつ歳上のナマエ・ミョウジ。ナマエの大きな瞳が、大きく見開かれてぱちりとひとつ、瞬きする。
ナマエという女の子は、とても魅力的な女の子だ。彼女との出会いは図書館だった。レポートを終わらせて図書館を後にしようとした時、「ハンカチ落としたよ」と肩をたたかれたのが初めての会話。その時は「こんな同級生っていたかしら?」と思っていたのだけれど、他愛もない会話を繰り返しながら寮に戻る中で彼女が東洋出身だということ、ふたつ歳上の女の子ということを知った。彼女といるの不思議と肩の力を入れなくてもよかったし、自然と笑顔になれるようだった。魔法を使っているわけじゃないのに、ほんとうに不思議。そんな彼女が、どうやら悪戯好きの双子のターゲットになっているみたい。彼女とは何度も話していて、わたしは彼女がとても好きだったし、何か彼女が嫌な思いをしているなら双子にだってずばっと言ってやろう、と思っていた。「ハーマイオニー、眉間にシワができてるよ」ハリーの声にハッと視線をそらす。失礼ね、ハリー!
「だって!」
「ハーマイオニーの考えてること、なんとなくわかるよ。だけど、なくたぶん、フレッドとジョージはそういうのじゃない気がするんだ」
ハリーの穏やかな言葉に視線を移す。いつの間にか双子のどちらか(たぶんジョージだと思うのだけど…)が立ち上がってナマエに何かを伝えている。ナマエの横顔が、なんだか恥ずかしそうにしているけど、口端はすこし上がっていて、とても可愛いなと同性ながら感じる。ジョージも同じくそう、あの人のあんな顔見たことなかった。いつだって悪戯な笑顔しか見たことなかったのに。ああ、そういうこと。
「ね、ハーマイオニー、なんとなく、わかったでしょ」
「、ええ」
「ねえ!ふたりともなんの話をしてるの?!ていうか彼女誰?」
「ロンってば、…ほんっとうに空気読めなさすぎよ」
「はあ?!君に言われたくなんかない!」
「あなたよりはマシよ」
なんだよー!とキャンキャン喚くロンを尻目にナマエに目をやる。彼女の頬がほんのりと桃色に染まる、というよりふたりの周りだけなんだか桃色に見えるのは気のせい?後ろでハリーがナマエについてロンに教えているのを聞きながら、彼女の幸せを願うばかりだった。ほんとうに素敵なひとだから。こっちまで幸せになれそうな、あんな可愛い笑顔で笑う彼女にウットリする。もし、ジョージがナマエを傷付けるようなことしたら、ほんとうに許さないんだから!
「ジョージのやつ、いいなあ、あんな可愛いひととお近付きになって!」
ロンの馬鹿。空気読めないんだから!
(ハーマイオニー視点)
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