お昼のチャイムがなると同時くらいにぐうう、とお腹の虫が鳴く。わたしのお腹の虫は律儀だ。我が家のお弁当当番は一週間交代で行われていて、今週のお弁当当番は、サボである。サボの作るご飯たちは、本当に美味しい。兄弟みたいな幼馴染たちがよく食べるせいか、料理が意外にも上手い。卵焼きのふわふわ加減もだし絶妙な出汁加減も最高。唐揚げの衣はサックサクで香ばしい。林檎は絶対にうさぎさん。そうそう、この間入っていたピーマンの肉詰めなんて、美味しさで頬っぺたが落ちてしまいそうだった。和食だって美味しくて、筑前煮が入ってた日には小躍りするくらい。わたしにとって、食べることは生きることなのだ。ただただお腹を満たすだけじゃない、食べることは幸せを生み出すということ。そこにサボがいれば何百倍にも膨らんだ幸せがお腹と心を満たしてくれる。


「(……そういえば、)」


「ナマエちゃん、今日のお昼ごはん、楽しみにしてろよな!」


いってきまーすと自宅を出る前のひらひらと手を振りながら浮かべるサボの綻ぶような笑顔を思い出してわたしもつられて思い出し笑い。斜め前に座っている同僚に怪訝そうな顔をされたけど。花柄のお弁当包みをそっと解いて、フタを開ける瞬間はいつもワクワクする。ぱかっと開けると、わあ、とまたひとつ笑みが溢れる。大好きなオムライス、ケチャップで大きくハートが描かれているベタなやつ。きっとつやつやきらめくの卵の下には、きっとこれまたわたしの大好きなツナ入りケチャップライス。顔が緩む。

オムライスといえば、わたしがちゃんとサボに初めて作った料理だ。大学生の頃、部屋に遊びにきてくれたサボに何か振る舞おうと考えに考えた結果、母の味のツナ入りのオムライスにしたんだっけ。卵でうまく包めなくて少し不恰好になったオムライスは、ぺろりとサボの胃袋に収まった。美味しい美味しいと何度も言ってくれた。普段はかっこいいサボが口の端にケチャップなんて付けちゃったりして、とろけるような笑顔に安心感と愛おしさでいっぱいになったのを覚えている。オムライスがふたりの味になったのもそこからだった。

ハートをぱくりと一口、いただきます。帰ったらサボにとびきりのありがとうをするんだ。今日の晩ご飯は、とびきりのありがとうと大好きを込めて、ハート型のハンバーグにしよう。きっとまた君は小躍りするくらい喜ぶんでしょう。だから、お腹と背中がくっつく程、お腹を空かせて帰ってきてよね。


そうよあなたは魔法をつかう
170424



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