ふ、と隣に感じる誰かの気配に目を覚ます。まだ重たい瞼を擦りながら伸びをひとつ。寝ながらでもわかる気配にわたしってやっぱりちゃんと、白ひげ海賊団の一員なんだなあと考えたりしてみたり。西日があたたかくて少し眩しい。書庫に人が居ることさえとても珍しいのにましてやわたしの隣に座るなんて。すらりと伸びた長い足が見えた。
「やっと起きたかよい」
見覚えのある顔がこちらを見て笑っていた。さらりと流れる蜂蜜色の髪とニヒルに笑う口端。「マルコ隊長、」名前を呼ぶとにこりとまた笑うマルコ隊長につられて口元がへらりと笑っているのが自分でもわかる。
「あんまりにも気持ち良さそうだったからな、つい見ちまっただろい」
くすりとわたしの顔を見て笑うマルコ隊長を見たわたしは急に恥ずかしくなる。やめてくださいよ、もう!
「腕下ろしたらどうだ?疲れるだろい」
あ、そうですね。マルコ隊長が隣にいたことに今更びっくりなんかしてしまって体が固まってたみたい。伸びをしたままの態勢でびりびりと痺れる指先を下ろすと固まっていた体がゆるやかに活動を始めたところでマルコ隊長がゆっくり立ち上がった。
「俺はもう行くからな。なまえはもう少し休んでろ」
頬杖を付いていた手のひらで、そのままくしゃりとわたしの頭を撫でたマルコ隊長の手のひらは意外にも大きくて、それでいて優しくて、あったかかった。(マルコ隊長は「ここ、跳ねてる」と寝癖を少し弾いた)遠くなるマルコ隊長の華奢なのにどこかたくましい背中を見送っていたらくるりと振り返ったマルコ隊長がひらひらと手を振ったからわたしも振り返した。マルコ隊長の優しくとろけるような蜂蜜色の頭はやわらかい西日を受けてさらに甘いオレンジに染まる。もう一度眠ろう。そうして机の上でまた腕を組んだとき、背中にあたたかさを感じた。マルコ隊長の手のひらみたいにあたたかいブランケット。もしかして、
「わたしの為に、隊長、が?」
ああ自惚れてしまうなあ。もしかして、わたしが起きるまで待っててくれたの?もしかして、わたしの為にブランケットをかけてくれたの?頭の中に浮かんだたくさんの“もしかしたら”の行為の相手がかの一番隊隊長のマルコ隊長であるのはわたしの自惚れかはたまた彼の優しさか。握りしめたブランケットからは、確かに隊長の香りがした。
寝癖に触られると好きになるってほんとう? 170405
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