「お、おじゃましまーす」
恐る恐る、マルコ隊長の部屋に入って(マルコ隊長の部屋初めて入る…!)靴を脱ぐ。緊張する!わ、わたし、男のひとの部屋って初めてなんだよね…!モテない女ってつらいよね、とか思ったら虚しくなった。
「なまえ?、大丈夫かい」
「えっ、はい!大丈夫、です!」
「なら良かった。あ、適当に座っていてくれ。外は寒かっただろ、コーヒーでいいか?」
ありがとうございます。やっぱりマルコ隊長って優しいと思う。失礼ながらベッドに腰掛けてぼんやりと部屋を見回しながら考えてみた。マルコ隊長って良いひとなのに彼女とかなんで作らないんだろう。もしかしてほんとは彼女がいるんだけど、わたしには教えてくれてない、とか?がーん。それだったらショックだなあ。わたしとマルコ隊長って上司と部下、みたいなもよだよね。白ひげ海賊団では仲良い方だよね。そう思いたい。きょろきょろと部屋を眺めてみる。ベッドと本棚と机とクローゼット、コーヒーメーカー。あとは机に置かれた飲みかけであろうコーヒーカップ。
「どうぞ」
「わっ!ありがとうございます!」
「何をそんなにびっくりしてるんだ?俺の部屋に、そんなにいいものなんか置いてねェよ」
俺は1人だから、物は少ない方だと思うけどね。にこりと笑う。女がいたら、もっと何かあんだろい、と付け足すマルコ隊長。あっ、やっぱり彼女いないんだ。ほんとに?マルコ隊長の顔をじいっと見つめてみる。
「なんだ、なまえ。照れるだろ」
かちゃり、とコーヒーを置くマルコ隊長が少し笑う。これ照れるんだ!レアだなあ。今度マルコ隊長にいたずらする時、じっくり見つめてみよう。あ、コーヒー美味しい。さて、とマルコ隊長が小さく伸びをして立ち上がった。
「腹も減ったろ、メシもらってくるから。適当に待っといてくれな?」
「わあい!待ってます!」
わたしも行きます!と言ったけど、わたしが今日仕事頑張ったからと言うのを理由に待つことになっちゃった。あのマルコ隊長がご飯を持ってきてくれるなんて、更に申し訳ないなあ。でも今日だけマルコ隊長の優しさに甘えちゃおう。
「(…ん、ねむい、なあ!)」
マルコ隊長がキッチンへ向かうと同時にベッドに倒れこむ。すう、と息を吸い込んだらマルコ隊長のいいにおいがする。そっかあ、これ、マルコ隊長のベッドだもんね。あ、なんか…眠、い。さざめく波音がリズムがまたいい感じに眠気を誘う。うー、ここで寝たマルコ隊長に失礼なんだよねえ。「なまえ」はあーい、起きてます、起きてますよ。って、言ったものの返事した声は3分の2、眠っちゃってるんだけども。「なまえ、寝るなよ、せっかくメシ持ってきたんだからよい」マルコ隊長の声が聞こえる。ああ、マルコ隊長の声って、落ち着く。だめ、ねむけにまけそう、「おい、起きねェと」起きないと?もう、ねむ、
「襲うぜ?」
「!?」
にやり。効果音付きでにっこり笑うマルコ隊長がわたしを見下ろしていた。…えっ!「冗談、たぶん、なァ?」たぶん、て!眠気はすっかり覚めて、その代わりに顔が熱くなってきました。今までゆるゆるの優しいひとだったのに、マルコ隊長が急に男らしくなったから、ていうかマルコ隊長は男のひと、なんだけど、とにかくちょっとどきっとした、かも。気分良さげにあたたかいイエローの頭が揺れてる。そのまま何食わぬ顔で「メシにするぞ」なんて言うものだから、ほら、眠いの、がまんしなきゃ。
ホワイトの二面性について 170603
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