「なまえ、美味いかい?」
「す、っごい美味しい、ですっ!」
ごくりと飲み込むか飲み込まないかくらいで、頬杖をついてにこにこ笑うマルコ隊長に親指をぴっと立てて見せた。良かったな、とほっとするような笑顔で笑う隊長に、ふにゃりと口元が緩んでしまう。どうして隊長のそばにいることがこんなにも安心するんだろう。もう一度、熱々の料理をふうふうしてから口に運ぶ。やっぱり、美味しい。隣でマルコ隊長の「いただきます」が聞こえる。
「ほんとうに、白ひげのコックさんたちは最高ですね、マルコ隊長!」
「ああ、そうだな。お前みたいに幸せそうに食べてくれるやつがいたら、あいつらも頑張れるだろい」
にっこり。それはそれはもう、効果音付きで笑顔を作るマルコ隊長。今ならにっこりって言う言葉が隊長のためにあるんじゃないかって思うくらい。隊長が肩を少しだけ揺らしたらいいにおいがした。すんすんと息を吸ったら、隊長に不思議そうに顔をのぞき込まれる。
「マルコ隊長、いいにおいするねえ」
「ああ、たぶん香水の匂いじゃねえかな」
あ、なるほど。だからマルコ隊長、いいにおいするんだねえ。クルーの中には結構キツい香水とか使ってるひともいるんだけど、やわらかくて大人、なにおいがマルコ隊長にはよく似合う。すう、と息を吸ったらまたマルコ隊長のいいにおい。
「そんなに、におうかよい?」
「しますよ、すっごく!におうって言い方はアレですけど!」
あ、ごちそうさまでした!スプーンを机に置いてお皿を重ねる。すんすんとマルコ隊長が自分のにおいをかぐ姿は何だか小動物みたいだ。か、可愛いなんて思ったら失礼かしら。
「わたし、マルコ隊長のにおい、すきですよ!」
わたしが言うとマルコ隊長が顔を上げた。まあるい目で瞬きを繰り返すマルコ隊長。あれ、わ、わたし何か変なこと言ったかな…!そしたら、マルコ隊長が、ゆったりとした動作でわたしをぎゅううっと抱きすくめた。これ、って、だ、抱きしめられてる!
「よしよし」
「わ、わたしこどもじゃないんですよ!」
「さあ、どうだかなァ」
くつくつと喉を鳴らし、抱きしめながら頭をぽんぽんとする隊長に、なんだか心臓が痺れるような感覚になって、うっとりとしてしまう。もうちょっとだけ、このままでいてもいいかなあ。胸いっぱいにマルコ隊長のにおいを吸い込んで、ちょっぴり悪いことしてるような気持ちと、なんとも言えない安心感を、心のどこかにひっそりと在る秘密の宝箱にそっと大切にしまって目をつむることにした。
おいでよお嬢さん、秘密を唱えてあげようね 171117
ALICE+