パワー・オブ・ラヴ!
「藤真くん!」
「…………………」
「ちょっとお、藤真くん、走らないでよぉ」
「なぁ、気持ち悪いからその話し方やめろよ」
「何よぉ、恋する乙女は話し方すら変わるのよぉ」
「ほんとまじやめろそれ、俺の好きなもふはそんな喋り方しねーんだよ」
「えぇ〜」
「えぇ〜、じゃねーよ!いつものお前ならなぁ、俺をラリアットして行く手を阻むくらいしてるだろ!」
「ウン。まあ、この変化は愛のチカラってことで。そんなことは横に置いといて、だよ藤真くん。」
「…なんだよ」
「昨日の試合はお疲れさまでした」
「……結局来たのか」
「まあ、フジマサマに直々に誘われたら断るわけにもいかないでしょ」
「…今更だけどよ、誘わなきゃ良かったと思ってるんだけど、俺」
「そんなことないよ、かっこ良かったよ、藤真くんも」
「("も"。)…アイサツはいいから、さっさと本題入れよ」
「神様!藤真くん神様!ていうか以心伝心!私の言いたいことが分かるんだね!」
「大体、もふが俺を君付けで呼ぶのは、頼み事か何か後ろめたい事がある時だけだからな。ある程度察し付くっつーの」
「さすがっすフジマックス!尊敬します!!」
「何年間お前だけ見てると思ってんだよ」
「いやー、ほんと嬉しい限りだね!それでね、」
「華麗にスルーかよ!!!」
「まあまあ。それでね、昨日の試合のさ、湘北?の人でさ、背番号はたしか、」
「知らん」
「え、?」
「お前究極のバカ?なぁ、本当に本物のバカ?」
「えー?」
「何処のどいつが昨日の今日で、負けた試合の相手の選手をお前に紹介すると思ってんだよ、そもそもお前バカだろ!」
「何回も言うな何回も!」
「事実だろ事実」
「ほんとに悪いと思ってるよ、実際。だけどね藤真、愛は友情をも越えるんだよ」
「お前それ使い方おかしい」
「それはさておき。本題はですね、湘北高校の14番なんですよ!」
「…14番。へえ」
「かっこよかったんだよ取り敢えず!」
「あいつ、途中でもうバテバテだったぜ」
「それでもいいの!なんか吹っ切れた感がかっこよかったんだから」
「わかんねぇー。 だったら絶対、選手兼監督の俺の方が格好良いっての」
「まあね。 でもあれだよ、あんたはかっこよすぎるっていうか、ほら。 アイドルだから」
「わっけわかんねー」
「かっこよさの種類が違うっていうかさ、なんだろね?」
「いや俺に聞くな」
「そんなわけで!」
「おう」
「私に、あの湘北高校バスケ部14番の名前をお教えください!」
「忘れたわ、んなもん」
「ふーじーまーつーげー」
「しょうがないだろ!俺はな、過去に生きるような器の小せえ男じゃねーんだよ!」
「それ使い方おかしいわ、このまつげやろう!」
「いーんだよべつに!うるせー!」
「いや、ていうか、監督ともあろう人が相手の選手をたった一日で忘れ去るってどうなのよ!だめだよ、だめなんだよ!」
「知るか!俺はな、疲れてんだよ昨日の試合でよ!」
「…分かった、じゃあ紹介してくれなくても良い」
「……………」
「一緒に湘北行こう」
▼▲
「あーもーまじバスケ部いたらどーすんだよー」
「いーじゃん、藤真の友達なんだし」
「友達じゃねーわ!ていうか、こんな校門の陰でバスケ部14番探すとか、怪しすぎるだろ俺ら」
「大丈夫だよ多分。もう部活やってる人しか残ってないだろうし、見付かんないって」
「…あー、もふに付いてきてあげるとかまじで俺優しー」
「はいはい優しいよフジマックスは本当に優しい」
「どんだけあしらうんだよ」
「しっ、ちょっと集中してよ!あっ、ランニングしてる団体発見!」
「うわっ」
「なになに?あれバスケ部?」
「くっそ、まじでいるんだな」
「そりゃいるよ。って、あれはバスケ部なんだね?!」
「チガウヨ」
「よし、バスケ部14番を探すぞ藤真二等兵!」
「一人でやれよ」
「ちょ、ここまで来たら潔く手伝ってよ!」
「いやだね」
「…全く薄情な奴だね、あんたは」
「こっちの薄情さには理由があんだ、バァーカ」
「なんじゃそりゃ!どうでもいいから早くバスケ部14番見つけて!」
「おい」
「えっ」 「は、」
「お前ら、翔陽の?」
ダッ
「えっ、あっ。って、あ!!こら待て藤真ァァ!…あ、えっと、あのすみませんでした今から帰りますんでほんとすみませんでした」
「…やっぱそうか。今逃げたのって、監督で選手の藤真だよな」
「はあ、まあそうです」
「それで?なんで翔陽のお前がバスケ部14番の俺に用があんだ?」
「う、わ、聞こえてましたか…」
「おう、お前らが来る前から校門の裏に座ってたからな」
「…あ、ははー(くそう、何でこんなピンチの時に限ってアホ睫毛野郎は逃げるんだ!うー、藤真がいたらバスケ部関連でどうにか逃れられたものの!くそう、あいつまじでじゃにーずに売り飛ばそうか…)」
「…?おい、」
「あっ、はい」
「お前さ、昨日の試合、来てただろ?」
「…?行きましたけど…」
「やっぱな!」
「え?やっぱな?」
「…あ、まあ、あれだ。何か見たことあるなー、と」
「わわ!見えてたんですね、観客席」
「まあ、ゴール近くでしかも大声で応援してるの見たら、嫌でも目に入る」
「そういうもんですか!お恥ずかしい!」
「…おまえ、なんか面白いな。名前は?」
「えっ、あ、もふもふこです!」
「もふか。藤真とタメ…だよな?」
「はい!」
「じゃ、俺ともタメだろ。俺は三井寿」
「三井さんっていうんですね!うわー!それ知れただけで来た甲斐があった…!」
「………で、俺になにか用があるんだろ?なんだ?」
「う!あ、あの、それは……」
「うおいもふー!!」
「あ!藤真が来た!って、ちょ、なに!?」
「よお三井!うちのもふが世話かけたな!じゃ!」
「あ、おい!」
ダダッ
「藤真ァ!離せええ!いま三井さんと楽しくお話してたのにいい!」
「うるせー!もう良いだろ帰んだよ!」
「ばかふじまー!!!」
「なんだったんだ、あいつら」
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