私とやつの、甘えた関係2




「うええ!!なによこれ!!」
「あは、わかっちゃった?」
「だからなんなのよこれ!!」
ついさっき、暇そうないのに会ったらなんかまためんどくさい色恋の話をされたので、良い機会じゃんと思い、私は彼女にあるお菓子をあげたのだ。
いのが今、思いっきり不味そうな顔して食べてるものは(不味いのに吐き出さないあたりは優しいと思う)、私の特製・げろまずグミである。これがほんとに不味くて、自分で食べたけど吐き出しちゃった始末、っていう超傑作物。

「まったくあんたって子は…もう子供じゃないんだから、その悪戯癖やめなさいよね」
「えー、でも前よりは全然減ってるもんね」
「いつの話してんのよ!」
「…アカデミー、入って少しの時、よりかは」
「ばか!」

でも私のお遊びは量だって質だって、昔より健全な方向にいっているはずだ。それなのにもっと無くせと言うの?


じゃあその希望通り、少しは大人しくしてやるか、と素直に思った私は、もうとてつもなくいい子なんじゃないか。
とりあえず、いい子の一歩として、私の標的をやり慣れたシカマルだけにして、しかも内容も”暗号でお手紙を送り付ける”という健全な遊びにしてみた。




その暗号文をシカマルの部屋に投げ込んでから三時間と少し。私がいつもの単調な任務に行くまで暇だなあとその辺をぷらぷらしているところに、やつはやってきた。

「おい、あのめんどくせぇの書いたのもふこだろ」
「え〜なんのこと」もう読んだの早いなあと思いながら、当然最初はシラをきってやる。
「読みゃお前だって分かんだろ、あんなの」
「あれ、なんて書いたっけ」
「…”今度、私の作った美味しいグミを食べてください”」
「え、だってなんかラブレターかな〜とか思うかなって思ったのに」
「フツー暗号で書かねえだろ、そうだったら気持ち悪ぃわ」

確かにそりゃそうだわ、と納得していると、いつもの"仕方ねえヤツ"って顔された。

「それに、いのから酷い目にあったって聞いたしよ」と、ちょっと笑ったシカマル。
「なになに、シカマルも食べてみたいの?」
「んなわけねぇだろ…って、おい!」
嫌そうな顔したヤツのその手に私のグミを一袋掴ませて、私は晴れやかな気分で任務に出かけられたのだった。





それから何回かその暗号遊びをしたのだが、よく考えてみると、私が必死に考えて作った暗号なんてあいつにとってみれば小さい子のための問題集みたいに簡単なものらしく、容易く解いてきてしまう。
それに対して毎回馬鹿みたいに律儀に返答しに来るシカマルの相手をするのも面白いのだけれど、もっとこう、悩んだりしてくれないと、つまんないかもしれない。
でも、いい加減良い子にならないと、周りにうるさく言われるのかもしれない。ああ、ジレンマ。


そのことに気付いた日、意識はしていなかったがどうやらその不満が顔に出ていたようで、同じ任務についた他の忍に、しつこく言及されてしまった。
仕方がないから、そのことを説明して愚痴る。
すると、なんだか意味深そうな笑みを湛えるその人。
「それって、いつもやるの?」
「まあ、だいたい毎日ですね」
「へえ、羨ましいね、彼」
「え?なんでですか?あいつは嫌がってますけど」
「そうなの?なら損してるよね。俺なら喜ぶな、こんなにチャーミングなちょっかい」
「!?」
星が飛びそうなほどのその笑顔に、私はしばしフリーズした。


私が、あのシカマルに、”ちゃーみんぐ”な”ちょっかい”…?


しばらくシカマルに何か仕掛けるのはやめておこう。
その人の話を聞いて、そう思った。



飛んでった気まぐれ




160422


◎着々とつづくのであった





 



-Suichu Moratorium-