えおえおはうとうとと惰眠を貪ろうとしている。
「なぁ〜にぃ〜?えおえおちゃん寝ちゃうの〜?」
おちょくるような声色で話しかけてきたのはきっくんだった。
心地よい微睡みに身を任せあと少しで寝れる、と言うところだったえおえおはこの心地よさを邪魔されて眉間に皺が寄っている。
「ちょ、眉間皺ヤバイ!」
大口を開けて笑うきっくんに多少のイラつきを感じながらも再び睡魔に襲われたのでもう一度目を閉じた。
「寝ちゃうの!?夜はまだこれからだぜ?」
ニヤニヤとした笑みを崩さないまま布団で横になっている俺の上に被さってくる。
鬱陶しいと思いながらもそのきっくんの体温に安心した。
布団の心地よさときっくんの体温に安心しきった俺は今にも寝てしまいそうなこの微睡みに身を任せ意識を、落とした。

「…あ〜ぁ、完全に寝ちゃった」
少しつまらない。
けれどここで無理にでも起こそうとすればどんな目に合うのかはもう既にわかりきっていることなのでこのまま寝かせておく。
「無防備に寝ちゃってさあ!
なんでこんなに無防備なんだ!襲われでもしたらどうするんだ!
起こさないよう声に出さず心の中で文句を綴る。
ここにFB達いなくてよかったな、今だけは俺だけが独占できる。
いつもは騒がしい4人でいるせいでなかなかえおえおと二人きりになる時はない。
それに東京に住んでるFBは会おうと思えばいつでも会えるし、あろまだって北海道にいたとしても結局のところ高校からの付き合いなのだから俺はこの二人に比べて圧倒的にえおえおのことを知らない。
それに僅かの劣等感を常に感じている。
ふにふにと寝ているえおえおの頬をつつきながら考えていたのだが頬を緩ませた可愛い寝顔を見つめているとなんだか自分も眠たくなってきた。
「…寝ようかな〜」
ふわぁ…なんて間抜けな欠伸をもらしてえおえおの隣に横になった。
そのままえおえおをぎゅっと胸に抱え込んで息を吸う。
あー、えおえおちゃんの匂いだわぁなんて変態臭い?でも男は皆変態だから問題ないか!
なんて、自己完結をして一度思考を止めた。
だんだんと降りてくる瞼に逆らわずぼんやりとした眼下の中えおえおが見える。
幸せだな、とただそれだけを思い今度こそ意識を落とした。