ゆっくり目を開けると隣に人の気配を感じて、寝返りを打てばそこには裸の和彦がすやすや眠っていた。そこで私はやっと昨日の記憶を引っ張り出す。飲み会に行って、和彦に送ってもらって、駐車場でキスされて・・・。
柄にもなくかぁっと顔に熱が集まるのが分かった。和彦を部屋に上げてからの熱っぽい記憶が体を熱くさせる。

はっきり言って経験したことがないほどの快楽だった。体の相性がいいのか、単に和彦がテクニシャンなのかは分からないけど、体の中心からとろとろ溶けていく感覚は私の頭を真っ白にさせた。

そこでふと気付く。和彦が裸なのに対して私はTシャツを着ているのだ。下着はつけてなかったけど。Tシャツはよくみれば和彦のもので、体を隠せる大きさに胸がきゅんと締め付けられる。ちょっとだけ襟元に顔を埋めてみる。当たり前だけど和彦のにおいがした。



「・・・伸びる」



肩が大きく跳ねた。慌ててTシャツから手を離すとぼんやりとした視線でこっちを見ている和彦と目が合った。そしたら急に恥ずかしくなって私は自分の両手で顔を隠す。くすくす聞こえる笑い声が余計に顔に熱を集めた。



「おはようございます」

「お、おはよう」

「今何時ですか」

「今?今・・・」



サイドテーブルに置いていた目覚まし時計を手にとって目を細める。そこには昨日居酒屋から出たときと同じ数字が書いてあった。



「・・・お昼の二時です」

「ずいぶん寝ましたね」

「疲れてたんだよ、たぶん」

「そりゃなまえさんは疲れる、」



和彦の口を塞いで頭を叩いた。恥ずかしいから和彦の口からは何も聞きたくない。昨日のなまえさんは〜とか言われたら私は羞恥で死ねる。
手を離したら和彦は声を上げて笑った。本当のことでしょ、そう言ってけらけら笑う。恥ずかしくて恥ずかしくて私はそっぽを向いた。っていうかそろそろ下着探さないと。
とりあえず足元を爪先で探っていると何か布が引っかかった。一発で見つかってよかったと引き上げてもぞもぞと寝転んだまま下着をはく。その私の動きを見ていた和彦はがばっと起き上がって俺の、と呟きながら頭をかいていた。



「あ、あった」



ベッドから降りる和彦に背中を向けた。とにかく私は恥ずかしいのだ。まるで初体験をしたときみたいに、うぶな状態になっているのだ。だって、あんなのは初体験だし。

下着をはいたのか和彦はまたベッドに戻ってきた。そして寒いと布団を肩までかけると私の腰に腕を回して抱き寄せる。その優しい動きにまた胸が締め付けられた。



「なまえさん」

「なに」

「好きです」

「・・・え、今?今言う?」



和彦の方へ体を向けると和彦は少し照れたような顔をして今言う、とだけ言った。しばらくの沈黙が出来て、二人の顔がじんわり赤くなっていく。昨夜の二人はどこへやら。和彦までうぶになったみたいだ。



「・・・なまえさんは?」

「私?」

「返事ないと不安なんですけど」

「・・・好き?」

「なんで疑問系?」



不貞腐れたようにそう言うから私はまだよく分からないの意味をこめて肩をすくめた。確かに和彦はかわいいし好きだ。だけどそれは後輩としてではないだろうか。そりゃあ他の後輩と比べればずば抜けてかわいいし好きだけど、はたしてそれは恋愛感情なのだろうか?
しばらく悩んでいると和彦はもういいよと笑って私を抱きしめた。



「好きでいいじゃないですか」

「・・・そりゃあ好きだけど」



胸がきゅっとなるのは後輩に優しくされたから?違うような気もする。私は、和彦が、好きなのか?



「じゃあ」

「ん?」

「キスしてもいいですか」



なぜそうなる、と思いながらも私はこくりと頷いていて、柔らかい和彦の唇を受け止めた。



狼男の告白



軽いキスがやけに愛しく感じた。あれ?ということは、