ゆっくりと彼の部屋のノブを回す。
かちゃと小さく音を立て、扉は開いた。

カーテンが引かれ、真っ暗に近い部屋。
そんな暗闇でも彼の、美しいプラチナブロンドは僅かな光でも反射し、彼の居場所を教えてくれる。
ドラコの隣へと座るとチラリと顔を上げ、私だと分かるとまた膝を抱え、俯く。
その微かに震える背中に手を触れようとしたが触ってはいけない気がし、ゆっくりと自分の膝に戻す。


「…………ドラコ」

沈黙を破る私の声。
応える声はない。


「聞いた。あなたの任務」


その一言に全てを閉していたドラコが勢いよく顔を上げた。
薄いグレーの瞳には恐怖が滲んでいる。


「私も、同じ任務に付くわ。あのお方から命じられた」

「そんな!あれは僕があのお方から命じられたものだ!どうして!」

「ドラコ。約束、したでしょう?何処だろうと私のそばにいてくれる、と」

「それは今関係ないだろ!」

声を荒らげるドラコにそっと抱きつく。
少し早い鼓動。
冷たく冷えた体。

「……僕は、君だけは、守りたかったんだ」

「ええ、分かってる」

「どんなに恐ろしい事か分かってるのか」

「ええ。でも、ドラコ、私はあなたを独りにしないわ」


そう、そこが底の知れぬ深い深い闇の中でも。
あなたが堕ちるというならば、私も一緒に堕ちるでしょう。


裾から覗く左腕の、禍々しい髑髏が鈍く痛む。
この印がある事をドラコは知らない。
私だけでいい。
この決して消えぬ罪を背負うのは。



ドラコ、私があなたを守るわ。




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