黒猫の恩返し(襲来)


※ 夢主が猫から人間というやや特殊設定です。








あーくそ、ダリィ…。

授業に部活に、部活終わってからの自主練…1日の疲れがドサッとのしかかる。それを流す様にシャワーを浴びてから、寮へ帰った。そう、俺にとっちゃァ変哲もねェ1日だった。

すれ違う後輩に頭を下げられながら、部屋への足を導く。あー、明日の課題やっとかねェと…なんて呑気に考えながら、戸を開いた。あぁ、あの時までは平和だったな。



「あ!やす君!」
「ア!!?」

瞬時に戸を閉めた。何しろ、そこにいたのは見知らぬ裸の女だったからだ。白い肌によく凹凸の付いた身体から思わず目を逸らす。つか露出狂の不法進入か!?どーなってんだヨ!?

「ね!やす君!!ねぇってばぁ!こっち向いてよぉ…」
「っ…!てめ、服着ろ服!」
「服、分かんないよぉ…」

俺の脳内知らずに泣きそうになりながら纏わり付いてくる女に、近くのクローゼットからTシャツを出して腕だけで渡した。それを笑顔で受け取る女。

「着ていいの!?」
「…っだから着ろ言ってンだろ!」

不法進入者の太ももまで隠れて、事態は少しだけ落ち着いた。いや、全然落ち着いてねぇ。




「で、てめェ誰だよ。つか、サツ呼ぶ」
「ぁ、あ、待ってやす君!」

手をブンブンと振り回す女。そいつがドアノブに手をかける俺の服を引っ張った。

「あのね、私猫なんだよ?」
「……」

あ、こいつ確実に頭おかしい奴だ。本気で通報案件じゃねぇか。ぞっとしながらドアノブを回した。

「あ、、あ!やす君変なこと言ったと思ってるでしょ!?あのね、あのね私いつもやす君にご飯貰ってる黒猫だよ!きょ、今日はね神様にお願いして人間の姿にしてもらったの」
「はァ!?」
「えっとね、いつもやす君私にパンくれたりするじゃない?だから恩返ししたいなって…!そうだ、やす君は私に色んな事話してくれるよね、自転車に乗ったきっかけとか、C組の酒井さん気になってる事とか…「アァ!?」

"え、もっと言えるよ?"

俺の遮った言葉に続いたのはそんな言葉だった。確かにエサはやってたりするけどなァ…ありえねェからァ!つーか、頭の整理出来やしねェ!!しかし目の前の露出狂なヤツから"こんな事もあったよねぇ"と飛び出す言葉は、俺とあの黒猫しかしらねェ様な出来事ばかりだった。

「…信じられねぇんだけどォ…」
「あ!そうだ!これは?」

手を叩いたと思ったら腕を上げて髪を弄り始めた女。Tシャツが上に上がり見える太ももの面積が広がる事に目がいってしまう。ちげェ!そこじゃねェ俺!こいつ単なる露出狂だからァ!そんな俺を他所に"これならどうかな?"と頭を寄せてくる女。

「…これ」
「そ、猫耳だよ?少し引っ張っても良いよ」

"人間に見せるとビックリするらしいから最終手段で隠しておけって言われててね…。なんかね、神様はおっちょこちょいでね、耳はあるのに尻尾はなかったの"
そんな事を言いながら俺に耳を触れといってくる。確かに頭から生えている黒い毛の耳は紛れもなく猫の耳で、触るとくすぐったそうに動いた。

「マジかよ…」
「でね、神様ったら酷いんだよ?"尻尾忘れたー"とか言って偽物くれたの」

ホラッとケツを俺に見せる女。Tシャツの裾から覗くは黒い尻尾があった。最初なんて出来るだけこいつを見ねェ様にしてたから分からなかった。ピラッとTシャツをめくって尻尾を、見せてくる…。

「…っ!?」
「もう…神様ったらならコレを入れていけば良いとか言うだもん、よく分からないんだけどなんだかムズムズするの…」

おそらくはケツの穴に入ってるのはアナルプラグっつーヤツじゃねェか!つーか神様変態だろ。あ、俺もうぜってェ神なんて信じねェ…。そう思いながらTシャツを直ぐさま降ろしてやった。

「ねね!3日間だけなのこの姿で居られるの…だからやす君と一緒に居たいな…あの、牛乳あれば良いから…」

俺のTシャツを引っ張る女に盛大なため息しか出てこねェ…。マジ?コレ夢なんじゃね?そう思いながら度々足を踏んだりしたりしたのだが痛いだけだった。

「おめェそれマジに言ってんのォ?」
「やす君酷い…名前で呼んでよ"なまえ"っていう人間っぽい名前名付けてくれてたじゃん」
「…バッ、んな事言うじゃねェよ!」

そう…ぶっちゃけ名前なんてタマでもポチでも野良猫呼ぶのに何でも良かった筈なのに、猫の世話してンのバレねェ様に"なまえ"っつってたな…。改めて、こいついつもの黒猫かという事を知らされた気がする。

「…なまえチャン…とりあえずこの部屋で爪研ぐなよ…」
「…え」

柱の引っ掻き痕を見ながら頭を抱えた。