ヤってみようイッてみようA
おかしい。
何が…って言わせると、その"私の身体が"である。付き合っている人とのセックスはイくことはなかったけれど気持ちの良いものだったし、充実感はあったのだ。
どうしたものか、前よりもどこか濡れにくいのだ。そんな私を不思議に思うのか、彼が舐めてくれたりするのに、どこか感覚が遠かった。
ものを受け入れて、それでもと思い、快感に合わせて声を出す。今までになかった感覚…この作業的な行為に、戸惑ってしまう。でも今日の体調というだけの話だろう。そう思っての、日を改めてのセックスも同じ感じだったのだ。
"何か物足りない"
一言で言ってしまえばコレにいきついてしまう。
その…彼と夜の行為をしていると、あの一夜の熱さがどうにもこうにも思い出してしまうのだ。もっとこうだった、あぁ触ってくれた…彼としている最中に、どこか足りなくなってしまい、自ら腰を揺らしてしまった。彼は喜んではいたけれど、けしてそうではないのだ。
ある夜、私はスマホと向き合っていた。
風呂上がり寝る前にベットの上にスマホを置いて早15分。画面には"新開"の文字を表示させたり消してみたりを繰り返す。髪も乾かさずにいるのでポタポタと首に掛けてあるタオルを湿らせた。
この通話ボタンを押す、押さない…え、これは迷うことなのか自分。思わずベットに頭を埋めた。
っ!やっぱ今さら電話はおかしい…いや、でもあのまま不思議な感じのままの関係も微妙だから、この電話で元の友人関係に戻すだけだから…。そう思い、恐る恐る通話ボタンを押した。
"…も、もしもし"
繋がって、どもりながら声を発すると、電話の向こうで声を押し殺すかの様に笑う声が聞こえた。
"っ、何!?"
"ほら、予告通りだ"
冷たい耳元から、バキュンという例のポーズが目に浮かぶようで非常にイラっとする。なのに、この自信有り気な声を聴くだけで、身体の中心が疼く感覚に、泣きたくなった。
…
その週末の夜、私はラブホにいた。連れてこられた相手は彼ではなく、新開だった。
あぁ、何をノコノコついていっているのだろう私は…こんな自分自身にに泣きたくなるのに、何かを確かめたいのだ。触れ合わないような距離を取りながら、歩く私たち。華々しいネオンの一角のラブホに入る際は念入りに周囲を見回す私を新開は笑った。
内装のボタンを適当に選んで、ラブホのエレベーターに乗った瞬間に強引に押し付けられる唇。感じるのは、背中に当たるエレベーターの壁の冷たさと向き合う新開の身体の熱さだった。
この間は拒否したのに今日は受け入れてしまうとか何て浅ましいのだろう。目的階に着くまでの数十秒、お互いの唇の柔らかさを確かめ合い、この溶け合うような行為に夢中になった。
「で、今日はどうしたんだ?まだ悩みでもあるのか?」
ここまでしておいて、部屋に入ってのサラッと投げ掛けられた一言。
分かっている癖に…なぜこう言うのだろうか。分かってる、あの電話をしたところで私の敗北は目に見えていたのだ。
「…分かってる癖に」
「いやぁ、強引じゃ犯罪だからな」
ベットに腰掛ける新開に近づいて、頬に唇を落としてみた。
「た、確かめたくなったの…やっぱり、そのさ、濡れなかったから私の身体おかしいのかもしれなくて…」
私が苦し紛れの言い訳というか悩みを言うと一瞬ぽかんとした新開だが"しょうがないな"とククッと笑いながら、私をべットの上に招いた。
この前の様に、指で秘部を荒されて、最近濡れないという悩みはどこへいったのか。やたら新開の指を濡らす私の愛液がグチュグチュと音をたてながら、滴りシーツを汚す。
「はぁ…っんっ!!やっ…!」
「おめさんの悩みに乗ったのに"いや"はねぇだろ?」
胸の先端を舐める新開に煽られる。
私は付き合っている彼氏もいるのにノコノコと他の男に抱かれにきてしまう様なはしたない女だったのだろうか…考えたけれど、もう知る由もない。欲望のままに腰を浮かせて、シーツの上を泳ぐだけとなった。
この間の様に高みに登らされて、力が抜けてしまう私にキスが降ってくる。
「ん…」
「おめさん、可愛すぎだ。特にイってる時なんてやらし過ぎて目ぇ背けちまうぜ」
「っ!知らない…!」
身体を起こして、手慣れた様にゴムをつけた新開。そして今日のゴムは備え付けではなく持参という事実…誘ったのは私なのに、どこか解せない。
「…アホ新開っ…なにが"しょうがない"よ、ちゃっかりゴム持参してるじゃない…!」
「そうかぁ?備え付けのは小せぇから俺が辛いんだ、紳士の嗜みっていうやつだな」
「は!?」
ピリッと破り捨てられたLサイズのゴムのゴミに思わず息を呑む。…え、こいつのそんなに大きいの…?この前の時は、その…酔ってたし、訳分からず夢中で気付かなかったのだけど、張り詰めたイチモツは確かに彼よりは大きい気がする。
緩くなったらどうしようとかそんな馬鹿な事を考えていたら、ツーッと秘部の入り口を硬く反り立ったものでなぞられて硬くなる身体。その卑猥な光景と弱い感覚にピクッと身体が反応する。そして何度も何度も往復するその行為に、物足りなさを感じるのだ。
「新開…っ!」
「…なぁ、俺にしとけよ」
「っ!」
そっと手を握られてそんな欲望に満ちた熱い目で見つめながら、そう言うのって卑怯だと思う。チラッと頭をよぎる優しい彼の顔で素直に頷く事は出来なかった。
なのに、この疼きを止めるのには私だけでは止められないのだ。その入り口をなぞる欲望の塊が欲しくて、腰を揺らす。なのに新開は、なぞるだけで一向に入れてくれなくて目の奥が熱くなる。欲しくて欲しくて、先ほどより溢れ出てくる愛液は新開にバレているのだろう。
「さっきの答えは?」
にもかかわらず追い討ちかけてくる新開に耐えられなかった。僅かに頷いた私を見逃さなかったのか、ぐっしょりと濡れた秘部に刺し込まれる太くて硬いもの。
「〜っ…!!」
「おめさんきつい…この前みてぇに力抜けって、俺の入らねぇ」
「…はぁっ…無理っ」
きっと、私が今だけ頷いたのは新開にとっては百も承知なのだろう。今だけ、今だけだから…。
私は新開もそのつもりだと思っていた。
奥まで満たされる快感に浸った瞬間に唇にキスをされた。その激しい行為とは裏腹の優しい唇に安心してしまう。
「はぁ…っ、…ずるくない?」
「ずるいのはおめさんだろ、とりあえず頷きやがって」
どこか冷たく私を見下ろしながら始まるピストン運動。奥に突かれる度に荒い息と僅かな声が出てしまう。つい瞑ってしまう目を薄っすら開けると、少し顔を歪めた汗の浮かぶ新開の姿。
「ぁっ…ん…はぁ…ぁ…っ…」
「俺と彼氏さん…どっちのが好きなんだ?」
中を抉るような動きに思わずのけぞる。新開の目の前に主張する私の胸を捕まえられ、中心を舐められる。
"どっちが"とかなんて酷いんだろう。今日ここに来ているのに、答えはしっているだろうに、私を攻め立てるのだ。
攻め立てるという割には、私の答えを待ってくれているらしく、スローペースなピストン運動だ。ググッとやたら太い棒に押し広げられる感覚に余計に興奮してしまう。もっと欲しくなるその動きに腰を浮かせようとしたら、押さえつけられた。
どうやら答えなければ許してくれないらしい。
「…ぁっ…、新開の…」
辛うじて言葉を発した。予想よりも小さい自分の声に恥ずかしくなり、口を覆う。
私の答えに"そうか"と返ってきたのに一向に激しくならない運動に、少しイきそうだったのにその感覚が離れるのが寂しかった。でもそんなはしたない事はさすがの私でも恥ずかしくて声に出せない。
「ん…っ新開のが好きぃ…っだから…っ」
「あぁ」
さらに言うのに、スローペースは変わらなくて、生理的涙が横に流れる。汗と涙で顔に張り付く髪をそっと取り除かれて、視界が明るくなる。その優しさに胸騒ぎがする。
もう、だめだった。
この身体の疼きも、そのどこか自信有り気な表情も何もかも今までになく欲しかったものだったから。
「っぁ、もぅ!…新開っ…!」
「あぁ…」
「…っぁ、はぁ…新開のおちんちん、もっとちょうだ、いっ…ぁ…っ」
無意識に出てくる今までにない自分の言葉に泣きたくなる。だから私はこんな人間だったのだろうか、頭の隅の一部は冷静で考えるのにすぐに快感で上書きされていくのだ。
そしてズッと秘部から抜かれたものに、少しだけびっくりした。
「ぁ…」
「名前、そんなに好きなら自分で入れろよ」
「へ?」
身体を起こした新開が私を招き入れる。この熱い疼きに勝てなくて、重くなってしまっている身体を起こして、おずおずと新開の身体を跨ぐ。所謂、対面座位…新開を跨いで腰を落とそうとした。
「良い眺めだな」
「ゃあ…!見るな…ぁっ…」
そそり勃ったものを手で添える様に当てればピクンと震えた。自分の中心にあてがいゆっくりと腰を降ろしていく。押し広げられるこのぞくぞくとした感覚が背筋を伸ばす事となった。
「ぁ、ぁぁ!…新開ぃ…ンっ!」
「おめさん彼氏さん以外のちんこ食ってヨダレ垂らすなんてやらしいな、これみょうじが自分で入れたんだぜ?」
「ん、ぁ、…ごめんな、さいぃ…っぁ」
快感の中で好きな彼の顔がよぎり、途端に押し寄せてくる罪悪感。
あぁ、本当ごめんなさい…、でも今だけは…今だけだから…薄れていく意識の中で必死に快感を求めてしまうのだ。
上に乗ったのにも関わらず、動く事も出気なくて見るに見かねたらしい新開が下からガツガツと突き上げてくる。奥の子宮口を突くようなその行為にどうしようもなく欲情する。これは欲情というよりも"発情"という言葉の方が似合うだろうセックスだった。
「ん…っ、あ、はぁ…だめぇ…いっ、…」
意識を手放した私は、そのまま汗が滲む厚い胸板にもたれかかるしか出来なかった。
「なんでいつも俺じゃないんだろうな…、好きなんだ…みょうじの事」
温かい手を頭に感じながら、遠のく意識の中で聞こえた甘い台詞はきっと夢なのであろう。