ねぇ、会いに来て?後編


上の話の続きです。







してはいけない事をしてしまった自覚はある。…でも、目を閉じると思い出してしまう程熱かった。
広い肩幅、厚い唇、甘いのに挑戦的な目に快感で少し歪んだ顔、どれをとっても興奮させる材料となったのは確かだ。数年ぶりに感じるものはけして感じてはいけない感情であった。でも、分かっている。私も、そして新開さんも自分の現状なんて充分に熟知しているのだ。

恥ずかしい程の痴態を見せ付け、腰何度も上下させてしまった。結婚して当たり前だけれども浮気なんてする事なく過ごしてきた私がいとも簡単に堕ちてしまったのは一瞬だ。
昼下がりで、捌け口が見つからない身体の火照りを慰めていた時だった。来訪者に慌て、取り敢えず服を着て出迎えてしまったのだ。そして単なる宅配便だと思いきや、密かに時々訪れてくれるのを楽しみにしていた保険のセールスマンの新開さんであった。どこか鋭いタレ目に全てを見抜かれてしまい、誘惑に乗ってしまい行われた情事。渇いた身体が潤う感覚、久しぶりに女として見てもらう喜びは大きかった。





「なんだ、保険変えるのか?」
「…うん、分かり難かったから一つの所にまとめても良いかなって最近思ったり」
「いや、こういうのはプランで決めないとだめだろ?」

次の日の夜、珍しく早く帰ってきた夫へ提示した保険のパンフレット。新開さんが置いていったものだ。夫に夕食を出しながら、新開さんに言われた通りに説明を行う。夫と言えば、興味なさげにパンフレットを見つめ、夕食に箸を伸ばす。その時、電話の鳴りだした。


「はい、みょうじです」

受話器をとり、耳に当てる聞こえてきたのはあの時を思い出すのには充分な声であった。

"しおらしい声も悪くないな。昨日身体辛くなかったか?"
「…っ、先日はありがとうございました、はい、あの大丈夫…でした」
"旦那さん帰ってきてるのか?"
「…はい」
"そうか少し残念だったな。今日電話したのは、次俺行く時に契約書書いてもらいたいんだ"
「、はい、大丈夫です。えっと次は…」
"そう焦るなって、そうだな来週月曜で良いか?"
「はい、空けておきますね」

夕食を食べいる夫を目線の端に捉えながらする電話。絶対聞かれてはならない内容だ。低く甘い声が耳から入り身体を巡っていく様だ。昨日アレだけ身体を満たした筈なのに…声を聞くだけで堪らなくなってしまう。
来週…、来週会った時慰めてくれるかな?なんて事を考えてしまう。新開さんに"おやすみ"と言われ切られた電話。おやすみ一言でここまで嬉しくなるとか末期だった。











約束の月曜日の昼下がり。
いつも以上に、丁寧に化粧をし、普段着を選ぶ。バカじゃないの?と自分の中の誰かが呟くのに、その手は止まらなかった。可愛い系、綺麗系どちらが好きなのだろうか、どこか色気のある新開さんだからやっぱり綺麗系かな。
悪い事の意識持っている。ごめんなさいと何度も心の中で謝ってるもの。でも、こんな気持ちの高鳴りは久しぶりでどうしても止まらなかった。
いつもは付けないグロスを少しのせる。鏡の中の私はいつもと変わらない筈なのに、光る唇がどこか期待しているようで滑稽であった。

来訪時間が少し過ぎる。それだけで不安な気持ちにさせられてしまうなんて…。新開さんの来た時は何度も時計を見て時間を確認していた時だ。


「久しぶりです」
「いやぁ、前のとこで立て込んで遅くなっちまった」
「いえ、来てくれないのかと」

額に浮かぶ汗を綺麗に畳んであるハンカチで拭う新開さん。その姿を見て、まるでデートに遅れてきたみたいだなんて馬鹿な事を想像してしまうくらい私はこの状況に酔っていた。そして少しゴツゴツした男らしい手が鞄の中を漁る。そして手元の書類から目線を上げて私を見てくるのだから、この人は本当に危険だ。

「っ、」
「熱烈な視線だなみょうじさん」
「…ごめんなさい」

意地悪く口だけで笑いながら、見つめていた私を咎める新開さん。書類を書くという口実…いや事実の為に家に上げた。西日が当たるダイニングテーブルに並べられた幾つかの契約用紙。これを書けば新開さんは今日の仕事は終わりで当たり前に帰ってしまうだろう。
思わず書類を並べる新開さんの手を触った。でも、その手は止まらずに書類を並べていた。

「あの…今日は、その…」
「どうしました?」
「…私の話聞いてもらえないんですか?」
「俺はそういう仕事ではないですから」
「…わ、わかってます…でも、でも新開さんがよくて、お願い…」

私が頼むとふと呆れた様に笑う新開さん。それだけで熱が上がりそうであった。誘っておいて、未だどうしたら良いかわからず戸惑う手。彷徨う手を掴んだのは新開さんで、耳元で"どこがいいか?"と聞かれて"ベット"という私。それがどこまで痛い奴かも分かっていた。

いつもは夫と共に入るダブルベットに、所謂赤の他人を連れ込んだ私。
スーツ姿からでも分かる身体つき…この前は分からなかったけれど、おそらくスポーツをやっている人の身体であろう。
スーツのジャケットを脱ぐ新開さん、午後という為かワイシャツは皺が目立つ。

「新開さん、今日何時まで居てくれる?」
「忙しいからな…みょうじさんに契約書書いてもらったら帰らねぇとな」

ネクタイを外して上げながら首元にキスをする。どこまでも少ない時間を独り占めしたい。この時間だけの"ごっこ"なのは充分承知で、これが終わったらいつもの日常に戻って夕食の買い出しに行かなければならない。
分かってはいるけれど、この人を知ってしまったらもうダメなのだ。ベットの上で、散々選んだ服を脱ぎ捨て下着姿になる。急かす様に新開さんのスーツのベルトに手をかけた。

「なまえ焦りすぎだ」
「…っ、だって新開さん一週間も待たせるから…」

あの時と同じ様に名前で呼んでくれる新開さん、そして微笑む様に目元に降る厚い唇を享受するだけで舞い上がる心。ベットの上のこの時間だけは、単なる女に戻った私は新開さんの手をショーツのクロッチの上へと導いた。新開さんが来る前から、これから起こる事を考えてただけでこの状況。恥ずかしいけれど知ってほしかった、どれだけ欲しているのかを。

「凄いな、これパンツの意味ないだろ」
「ぁ…、だってアレからも夫としてないの…っ」
「そうか、辛かったな」
「はぃ…、っ」

ショーツの上から押し付けられる硬い指。下着の意味も成さなくなるほど愛液の染み込んだショーツを子供の様に脱がしてもらう。
対面で生まれたままの格好をさらけ出して、新開さんの手を使い胸を愛撫させる。時折強めに力を入れる新開さんの手に声を荒げた。

「なまえさん、すげぇ綺麗だ」
「ぁ…っうれしい…」

座る新開さんの太く硬い太ももに濡れた秘部を擦り付けながら、胸の先端を指で愛撫する。

「ん、新開さんの太もも…っ凄く固い」
「あぁ、自転車乗ってるんだ」
「ぁ…はぁ、そう…っ」
「ほらなまえ、時間すくねぇからもう入れよう」
「ん、はい…っ」
「少しでも長くなまえさんの中にいてぇからな」

この人は私が欲しい言葉をくれるのだ。固い太ももから腰を上げると糸を引く愛液と、濡れた太ももに更に興奮してしまう。新開さんはそれを見てやらしく笑いながら指でなぞった。

「おもらしみてぇだな」
「…っ、ちがっ…」
「分かってる。欲しかったんだろ?入れていいぞ」
「はい…」

腰を立ち上がる雄の上に導かれて、脚を広げ腰を下ろしていく。圧倒的質量をもつそれは脚を閉じては入らなくて、自然と新開さんに、見せつける様な形になってしまう。徐々に入れないと入らなくて、荒く息を吐いた。

「なまえさん、デカイなクリ」
「ひゃぁ…っ!触らないでぇ…」
「そんなに焦らすなよ」
「あぁ…そこ弱いの…っ…」
「ほら、まだ半分だ。早く入れねぇとこのまま摘んだままだぜ?」
「っ、ああ…っ!だめぇ…っ!」

その瞬間、下からの突き上げられてしまい根っこまで咥え込んだ。つまみ上げられた芽と突き上げられた快感は達するのに充分な刺激であった。ビクビクと身体を震わさながら厚い胸板に力なく凭れ掛かるのを余儀なくされた。声を堪える様な笑い声が上から聞こえた。

「入れただけでいっちまうとか寂しいだろ?」
「…っ、はぁ…ぁ、だって…新開さんが下から…」
「こうか?」
「あぁっ!!、や、まだ動かないで…!」

ミチミチと広げられた身体。少しでも動かれると快感が押し寄せてくる。この前よりも意地悪い新開さんに少しの後悔を覚えた。しかし、後悔なんてしてるのも勿体無いこの時間だ。それは私の口までも軽くした。

「お願い、新開さんがもっと欲しいの…いっぱい奥まで突いて…」

対面で入れてた筈なのに、一気に押し倒されてしまい、白いシーツに埋まる身体と、目の前は見慣れた天井。そして目の前から熱の籠った目で見つめられて、それだけでも達してしまいそうだった。

「新開さんじゃねぇ、隼人だなまえ」
「…っ、隼人…」
「なまえだけだ、俺に動かせるのは」

意味深な事を呟いたかと思いきや、軽く腰を持ち上げられておそらく新開さんの動きやすい様に固定される。雄を引き抜かれたと思いきやグッと奥まで満たされる。理性なんてとっくに捨て去っているのでさっきの言葉を考えている余裕なんてないのだ。あるのはただただすきかってに与えられる快感を得るがためだけに神経を使うだけだ。

「あ、っ!はやと…っ…やっ」
「やじゃねぇだろなまえ…、全然足りねぇ」
「…ぁっ…ん、ん、…!」

皺くちゃのシーツを握りしめ、押し寄せる快感に堪えた。新開さんの顔から出てくる汗を顔に浴びる…恋人同士よりも熱いのではと思うほど激しい行為。新開さんが達するまでに何度も名前を呼び合いながら奥まで突かれてしまう事になった。









「悪い無理させたか?」
「ううん、だって、その…私が頼んだんだし」
「…あ、そっち丸してな」
「ここね」
「…なまえあんな事言うからいけねぇんだ」
「だって本当の事だったから…」

ダブルベットに2人裸で横になりながら、厚い下敷きを置いて保険の契約書を書いていた。乱れた髪を今まで抱いていた指で梳く新開さんはどこまでも甘い。
私の中にはしっかりと白濁液が残ったままだ。寧ろ排出するのさえ惜しいくらいに愛おしい。

時間はここに来てから1時間経つか経たないかなのに濃厚な時間だった。これで直ぐに新開さんはスーツを着て次の場所へと行くのだろう。そして私も現実に戻らないとならない。
でも、この人は魅力ある唇からさらなる誘惑を放つから私は熱を上げて、次を期待してしまうのだ。

「なまえ、学資保険考えておくか?」