息ついた答えはそこ
始まりは荒北のある台詞だ。
「こいつと一緒にAV観ても何も起きねェ自信あるわ」
「は?」
大学のある教室で、数人で和気藹々と話していた筈だった。話のネタは、私と荒北の仲の悪さであった。いや、私としては決して悪くないと思っていた。がしかし向こうが突っかかってきたら負けじと口答えをする面倒な奴は私しかいないだろう。確かに穏やかな仲ではなかった。
冷やかし交じりの友人達声に苛立った荒北が私を顎で指し示しながら発した先程の言葉。
それを言われたらもうこちらもカチンと来るものはあるに決まっている。
「荒北の薄っぺらい身体なんて、少しも興奮しないね!どうせなよなよしてるに決まってる」
負けじと言い放った一言に沸く周りの友人たち。眉を寄せた荒北を放っておきながら、話題は直ぐに移っていた。
筈だった。
その日の帰り道、引き止められた。勿論荒北だ。スラッとした細身の服を着る荒北、その荒北はいつもにも増して険しい顔だ。それに引きずられる様にこちらの顔も険しくなった。
「何?」
「勝負しねェ?」
「だから何の?」
そこからは売り言葉に買い言葉だ。それでも負けないからと言って訪れたのは、所謂ラブホだ。間接照明で照らされた看板が人の出入りを見守っていた。
適当な部屋を選び、無言でエレベーターに乗る。簡単に買ってしまったが、さすがに気まずい。ラブホに足を踏み入れた瞬間から無言の空間が続く、それは荒北もなのか一向に口を割らなかった。
部屋の番号を確認して、質素なドアを開けて中へ入る。独特の雰囲気が漂う部屋は、無性に私達の関係性を浮き彫りにする。単なる友人として2人で入るにはどこか違和感がある。
「…つか、"イッた方が負け"とか荒北勝ち目なくない?ちゃんと負けたら言うこと聞いてよね」
「ア?誰が負けるかヨ、そっちこそ覚えておけヨ」
馬鹿な荒北の提案した内容は"イッた方が負け"という勝負内容だった。その時は面白い、馬鹿にしてやろうと乗り込んで来たのだが、いざこの整えられたダブルベットを見たら生々しかった。
「あ、そうだ、入れないでよね」
「誰がてめェのまんこになんか入れっかヨ」
肩を押されてダブルベットに倒れ込んだ。柔らかい所に倒れこんだ筈なのに何かが痛くて顔を歪めた。荒北はというと、変わらぬブサイクな顔して同じくダブルベットの上に乗り込んで来た。
「オラ、服脱げ」
「うっわ、彼氏だったらそれない」
勝負だとはいえ、男の友人…しかも荒北の目の前で脱ぐのは躊躇われて、少しもたついた。目の前では荒北もどんどん脱いでいくし、もう後には引けなくて、覚悟を決めた。
細いのかと思ったら意外にも筋肉は付いていて、少しだけ予想外であった。見ていられなくて自分の服に目を落とす。ゆっくりと上の服を脱ぎ、ベットの上に置けば荒北の手によって邪魔とばかりに床に落とされた。ブラとショーツだけの格好…っ、水着と思えば楽勝。そう思いながらも、まとわりつく荒北の視線にもどかしさを感じる。
「…、勃った?」
「っ、勃つわけねェだろ」
ボクサーパンツ一枚の荒北に向き合う。付き合ってもないのにこんな姿晒すとか…そう思うとやけに恥ずかしかった。そんな事を知らない荒北は私のブラの上から指を入れて乳首を覗かせた。他人の手によって触られるとか凄く久しぶりかもしれない。
先端を指で擦り合せ、刺激を与えてくる荒北。馬鹿みたいに強くするのかと思いきや細めの指先から与えられる刺激は優しくて、その甘さに思わず声が出そうなのを我慢した。先端から甘い快感が全身に伝わる様で徐々に感覚が鋭くなってしまう。
「…っ」
「ハッ、乳首カチカチじゃねェか」
「っ、荒北だって…!」
ボクサーパンツの上からいつの間にか勃ち上がっていたモノに手を伸ばした。触った瞬間ピクッと反応した男根と予想よりも硬度を持っていた事にビックリして思わず声を上げた。
「ひゃっ…!」
「っ!何!?ビビってんのォ?」
「違うから!あんたの我慢汁手についてやだったの!」
ボクサーパンツの上にシミになっている濃い場所を指摘しながらボクサーパンツの上から手で扱くように刺激を行う。すると荒北も、負けじとブラのホックを外し、私の両胸を露出させた。荒北の目の前で少し揺れる様に開放的になった胸にむしゃぶりつかれ、舌を這わせられた。
「あ…っ」
「変な声聞かせんじゃねェよ!萎えるわボケナス…!」
「っ、ぁ、荒北の舐め方下手…だから…っ!」
ゾクリと鳥肌がたつ私の肌。そう言えばシャワー浴びてなかったとか下着揃ってなかったとか思っていた余裕も、一瞬で快楽へと意識を持っていかれる。揉みしだきながら先端を赤ちゃんの様に吸う荒北、与えられる快感に苛立ち、扱く手に力を入れた。
「っ、」
「ふん、イクの荒北の方が早そう。そしたら荒北は早漏って言いふらしてやる」
「てめェのココだってさっきから匂ってンだヨ」
「…っぁ、ばかっ…」
先ほどから与えられていた快感は、身体の中心に熱を持たせるのは充分だった。荒北の指が滑り込まされ、直ぐに埋まった。自分で分かるほど、ぬるっとする荒北の指が濡れている。
「どこが俺じゃ興奮しねェってェ?」
「っ、荒北だって勃たないっつってたくせに!」
どこが色気を増した荒北の顔なんてもう見れなくて、ボクサーパンツの上から男根を覗かせた。テラテラと光る我慢汁が亀頭を濡らしていてとても卑猥であった。手のひらでヌルヌルと撫でる様にすると荒北の腰は小刻みに揺れた。
「あーあ、出ちゃうんじゃない?」
「ってめェこそ下手くそだな、よっぽど相手の男のレベル低かったンだろなァ」
「ぁっ、私が弄ってたのに」
「ハッなら離すなよ」
私の首元にキスを落とす荒北。その行為なんて必要ないと思っていた筈なのに、やたら熱くて仕返しとばかり荒北の身体に何度もキスをした。割れた腹筋、実は着痩せしていた胸板に口付けた。
何かに動かされる様にベットの上で下着を全部取り払い、荒北の雄を扱く。荒北も私の乳首と秘部を指で弄るので、自然と溢れ出した愛液はグチュグチュと音を立て始めた。あまりのやらしさに目を閉じるのだが、耳から犯されるかの様に入ってくる水音は私達の興奮を煽るばかりだった。
「ぁ…っ、はぁ…っぜんぜんっきもちよく、ぁっない…っ」
「っ、俺もてめェじゃたりねェ」
「こんなにっぁ…っ硬くしてるくせにっ…」
「みょうじだってどんだけ濡らしてるつーのォ、変態かヨ」
荒北を睨むと荒北も私を睨んでくる、だらし無く開いた口を閉じては耐え切れずに開けて憎まれ口を叩く。荒北の額や身体からは汗が滲む、無論私の肌からもやたら熱い行為からか汗が出て、荒北と触れる肌で交わりあっていた。
「俺の勝ちなんじゃナァイ?」
「っ、まだ全然足りないし!イかせる気ならもっと激しくしてよね」
達しそうな快感を我慢しながら荒北を睨むと、さらに激しくなる指。数本バラバラに動かされ快感を与えられて歪めた顔をこれでもかと荒北に晒す。荒北の手は私の愛液でビッショリだし、私の手も荒北の愛液でふやけていた。そんな事を気にするわけもなく、刺激を与え合うのみだった。
「…っ、ぁ…」
「オイ、俺の上乗れ」
「は?」
「察しの悪ぃ馬鹿だなテメェは…!こーやんだヨ」
荒北の上で四つん這い…目の前には荒北の無様におっ勃てた男根、そして荒北の目の前には私の蕩けた秘部を晒した。
「…っ!」
「っ、ンなに濡らしてんじゃねェよ」
「あぁ…っ!」
「3本も入るじゃナァイ!?」
「ぁ…っ!…見ないで…っ!」
荒北の目の前でチラつかせた秘部は荒北の何かに火をつけたらしい。指が入ってきた刺激に、荒北の男根を握る様に力を入れる。…荒北に私の秘部が見られてる…そう思うと知らなかった興奮が身を包んだ。荒北の目の前では何が起こっているのだろう、先程から濡れた秘部はだらし無くヨダレを垂らしてるに違いない。抜き出しされる指に腰を揺らさざるおえなく、荒北の目の前でヤラシク腰を振った。
「っと、全然足りねェ」
「…っ、コレでも!?」
「ぅ…」
仕返しとばかりにパクッと硬くなった荒北を口に含むと独特の味がする。それがきっかけで、荒北は私の濡れそぼった秘部へと舌を挿入した。ジュルジュルと激しく音を立てながら吸われる愛液、そして差し込まれる柔らかい舌をに声はもう耐えられなかった。でも負けたくない。辛うじて残る意識で荒北を扱く様に口に出し入れをする。
「…っぁ…ふぁ…ぁ…」
「っ、」
「ほら…ぁ…っイけばぁ…ぁ?」
「、ッんなとこで喋ンな…!」
「ん…こう、しゃべるって…ん、こう…?」
「てっめ…」
苛立った荒北は身体を抜き、私を四つん這いさせた背後から足を閉じさせた。
「…っ、入れない…っでって…」
「だから誰がてめェのまんこになんかに入れるかっつーのォ!こーやんだよ」
「…ぁ…っ」
背後から男根を秘部に押し当てられたかと思いきや、それは足の間だった。秘部を掠める様に擦られるいわゆる素股。硬く主張している荒北の男根は私の敏感になってしまっている突起を何度も何度も擦っていく。
「ぁ…っ…はぁ…」
「っと、気持ちよくねェな…てめェは!」
「っ、の割に…ぁ…っ、息切れしてるじゃん」
「てめェもだろ!?」
「ぁ…!っわたし、は…体力無い…だからぁ、ぁ…しょうがないで、しょ…っぁ…」
熱くなる秘部が切ない。何がというと、達したいのに達せない刺激だからだ。僅かに足りない刺激に身体を揺らしてしまう。そんな事言えなくて泣きそうになる喘ぎ声を上げた。…勝負とか忘れてイッてしまいたい。僅かに足りない刺激を補おうと身体を揺らし始めた時だ。
ピリッと音がした。スッと抜かれた荒北の雄。それは、イキナリ秘部へと入ってきた。
「ぁあ…!!…っあ、あらきたぁ…ルール違反…!」
「ッセ、てめェがンなヤラシイまんこ見せつけて喘いでン方が悪りィ」
「っ、ぁ…ん、それ荒北の所為…!抜いてぇ…っ」
「ハッ、締め付けてンのはてめェだろ」
背後から腰を持たれて、荒北の本能のままに奥を突かれる。
限界だった。パンパンと濡れた肌をぶつかり合わせる様に与えられる快感にシーツを握りしめる。今まで耐えてきた刺激を真っ向に受けて、汗がシーツへと落ちる。荒北の汗を背中に受けて、それすら興奮材料となり、声を荒げた。
「ぁ…っ!奥…っそんなについちゃやぁ…!」
「っ!うるせェ、黙ってろ淫乱」
「…ゃ、らめぇ…ぁ、もぅ…!」
皺くちゃになるシーツ、散乱した服。そして体液塗れの私達。全てから目をそらす様に目を閉じて、先に負けたのは私だった。
「い…っ!…ぁああ…!」
ガクガクと震えながら身体から熱を解き放つ。あとはもうあられもない声を上げたまま、敏感になり過ぎた身体に刺激を与えられただけだった。
気絶する様にピクピクとしながら倒れこんだ。
「みょうじの負けなァ、口程にもねェ」
「…っ、知らないっ…」
「オイ忘れんなよ、言う事聞けっつーやつ」
「うわ…最低、ルール破ったくせに」
息荒い荒北が、ゴムを外す。どんだけ溜まってたのというほど精液が入ったゴムをティッシュで包んでゴミ箱に入れた。
そこから気まずそうに言う荒北の爆弾発言に私は更に恥ずかしくなった。
「っつー事でなまえ付き合ってくんナァイ?」
(さーさんリク?:「先イッたら負け」)